約 14,823 件
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/179.html
家 一方「オ、オマエ。その体……」 打ち止め「えへへ、身体がおっきくなっちゃった! ってミサカはミサカは恥ずかしながらも、体を見せびらかしてみる!!」 一方「……」 打ち止め「すごいでしょ! 高校生位だよ。番外個体位よりもスタイルいいよね!!」 一方「……」 打ち止め「一方通行?」 一方「……どォして」 打ち止め「冥土返しが調整失敗しちゃったんだって! ってミサカはミサカは起きた事実を正直に話してみたり」 一方「クッソォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」 打ち止め「え?」 一方「何やってンだァァァァァアアアアア!! あンの糞カエルゥゥゥゥゥウウウウウウ!!」 打ち止め「そ、そこまで怒らなくても……ミサカはこれからも元気だよ?」 一方「じゃlんヴぉあvんhとあvのいあ殺あj。んヴぉあのあ死あhヴぉえ」 打ち止め「……黒翼でてるよ?」 一方「ちょっくら、あんhとあn殺ぉえ!!!!」 打ち止め「なに言ってるか分からないよ! ってミサカはミサカは怖がりながらも必死に笑顔を見せてみる!」 一方(冥土返しぜってェ殺す) 病院・待合室 一方(落ち着け一方通行。オマエが落ち着かないでどォする) 冥土返し「やあ、一方通行。いらっしゃい?」 一方「オマエ、打ち止めの身体に何をした?」 冥土返し「いきなりだね。何から話そうか?」 一方「全部に決まってンだろォが!!」 冥土返し「起こらない、起こらない。ただちょっと目元が狂っただけじゃない?」 冥土返し「ほら、僕ってオールレンジの両刀使いでしょ?」 一方「知らねェよっ!!」 冥土返し「調整って結構大変でね。眼の保養に裸にさせておかないとやってられないんだよ」 一方「ちょっ!? オマエ、無意味に全裸にさせてたのかよ!!」 冥土返し「全ては医学界の発達のためだ……許してくれないだろうか?」 一方「だったら調整しくってンじゃねェよォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」 冥土返し「見とれちゃったんだよ」 一方「クッソォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」 冥土返し(うるさいな) 一方「ンで? 問題なく治るンだろォな?」 冥土返し「……全力は尽くすつもりだよ?」 一方「おィィィィィィィィィィいいいいいいいいいいいいい!! オマエ治す方法分かってねェだろ!!」 冥土返し「すまない。全然分からないし、研究する気もないんだよね」 一方「何でだよォォォォオオオオオオオオオオ!!」 冥土返し「打ち止めも喜んでたし、それって彼女にとってプラスだよね? だったらそれって病気じゃないよ」 一方「返せェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエ!!! 俺の理想を返せェェェェェェええええええええええ!!」 冥土返し(本当にうるさいな) 一方「何手元狂わしてンだ! 糞カエルがっ!!」 冥土返し「若い身体に目を奪われたんだ」 一方「……死にたいのか?」 冥土返し「まあ、彼女の容態も安定してるしいつも通り、これからもって事でいいよね?」 一方「……ェよ」ボソボソ 冥土返し「ごめん。良く聞こえなかった」 一方「良くねェって言ってンだよ!!」ポロポロ 冥土返し「別に泣かなくてもいいじゃないの……」 一方「……打ち止めの笑顔を守るって決めたンだよ」 冥土返し「だったらこれからも守ればいいでしょ?」 一方「誰を守ればいいンだよ……」 冥土返し「え?」 一方「俺はババアを守るために闇に染まったンじゃねェよ!!」 冥土返し「……患者はキミなのかもしれないね」 一方「何であンな巨乳になっちまったンだよ……。オマエの良い所全滅じゃねェか……」 冥土返し「……」 冥土返し「ちょっと鎮静剤持ってきて……あと、みつどもえ全巻」 看護師「わ、解りました」 一方「……くそォ」ポロポロ 冥土返し「はいはい、辛かったね。幼児は打ち止めだけじゃないから。気をしっかりもってね?」 一方「今までどンだけ尽くしてきたと思ってンだ……」ポロポロ 冥土返し「大丈夫だから……ね? こんど幼稚園に連れて行ってあげよう」 一方「……ホントか? グズッ」 冥土返し「本当だとも。3件ハシゴしようね? だから前を向いてしっかり」 一方「解った……俺は負けねェよ。どンな逆境にも打ち勝ってやる!!」 冥土返し「う、うん」 冥土返し(……彼は冗談じゃないようだね。本当に気持ち悪い) 一方「じゃあな。もう帰るわ」 冥土返し「これ辛くなったら飲んで? あと、コレあげるから家で読んでいいよ」 一方「いや、いい」 冥土返し「どうしてだい? これはキミの好みだと思ったんだけど……」 一方「全巻持ってる。それに小六は熟女だ」 冥土返し「……そうか」 一方「同じ闇を抱える同士であるオマエには、はなまる幼稚園を進めてやるよ」 冥土返し「あ、ありがとう。こんど見てみるよ」 一方「試聴会しようぜ!」 冥土返し「う、うん。そうだね」 冥土返し(……気持ち悪い) 帰り道 一方(そうだ。何キョドってンだよ、俺は。打ち止めがババア……いや、化石に成り果てたってあいつは打ち止めなンだ) 一方(今まで通り接しよう。あいつだって案外傷ついてるハズだ) 一方(……って待てよ? ココで優しくしておいたら、戻ったとき好感度あがンじゃねェか!?) 一方(あンなでけェ図体した女に好かれたって気持ち悪いだけだが、元の打ち止めなら別だ) 一方「よしっ! コレも試練だ!!」 ゴチン 一方「痛ってェな糞が!! コッチはイラついてンだ! たたき殺すぞ!!」 幼女「ご、ごめんなさい」ウルウル 一方「いいよ」 家・ドア前 一方(大人の女性とハッピーイベント……最高のテンションで帰宅出来るぜ) 一方(あのこ可愛いかったなァ……) 一方「ククククッ……」 ガチャ 打ち止め「あっ! お帰りなさい! ってミサカはミサカは笑顔でお出迎えしてみる!!」 一方「ゲッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」 打ち止め「ど、どうしたの? リュック持つよ?」 一方「さわんな」 打ち止め「え?」 一方「あ、何でもねェよ。頼む」 打ち止め「う、うん……」 一方(糞が……つい本音が出ちまう) 打ち止め「身体もおっきくなったし、御飯作ったんだよ!」 一方「そうかい」 一方(打ち止めが触った右手に、じん麻疹が出来ちまった……) 打ち止め「ヨミカワがお風呂に入ってるから、ご飯待っててね。ってミサカはミサカは~」 一方(糞、頭じゃ解ってんのに老人の小言にしか聞こえねェよ) 一方(落ち着けよ、一方通行。オマエはやれる男だ! こんなクソッタレは現象にキョドってンじゃねえよ!!) 打ち止め「ヨミカワに炊飯器で出来る肉じゃが教わったんだよ!」 一方(たとえ、打ち止めから加齢臭を感じても動じる俺じゃねェ) 打ち止め「味見したけど多分大丈夫だよ」 一方(それにしても乳でけェな。どう、ベクトル弄れば小さくなるンだ?) 打ち止め「えへへ! なんだか大人になった気分だね!」 一方「ああ、そうだな」 一方(大人? 老化の間違えだろォが……)ポロポロ 黄泉川「お、おかえり一方通行。今日は珍事件だったじゃん」 一方「よく笑ってられるな。コレは事件なンもンじゃねェよ。犯罪だ」 黄泉川「はぁ?」 一方「これは罪だ。無論俺は背負ってゆくつもりだが、泣き寝入りするつもりもねェ」 黄泉川「何言ってるか分かんないけど、打ち止めは明日から高校に転入が決まったじゃん?」 一方「何が決まったじゃん? だ、ボケが!! 俺認めねェぞオラァ!!」 打ち止め「え? どうして……」 一方「老人ホームになンか入れたら、完全に認めた事になるじゃねェか!!」 黄泉川「お前、なに言って……」 打ち止め「疲れてるんだね、ってミサカはミサカは一方通行本気でを心配してみたり……」 一方「頭じゃ解ってんのに……クソッタレ」ポロポロ 黄泉川(泣くほど心配なのか?) 次の日 打ち止め「それじゃ、行ってくるね」 一方「おう、気をつけてな。馬鹿に絡まれたらたこ殴りにしてこい」 打ち止め「! うん!!」 ガチャン 黄泉川「それじゃな私も行ってくるじゃん。吹っ切れてようでよかったじゃん」 一方「一晩使えばな。オラ、とっとと行って来い」 黄泉川「あ、行ってくる」 ガチャン 一方「ギャハハハハハハハハハ!! 認める訳ねェだろォが! ヒャハハハハハハハハハ!!」 芳川「……」 一方「はァ?」 芳川「……」 一方「……どこから沸いて出た」 芳川「自室だけど?」 一方「もしかして聞いてたのか?」 芳川「ええ。それにあなたがどういう気持ちなのかもよく解ったわ」 一方「OK、OK。何が望みだ?」 芳川「どういう事?」 一方「黙ってては頂けないでしょォか?」 芳川(……知らない間にどこまで堕ちてるのよ) 芳川「何があったの? 相談に乗るわよ?」 一方(相談? まさかこいつ打ち止めを治す術を持ってンのか?) 芳川(きっと、色々大変な目に会っているのね。なんだか目付きが余計悪くなってるし) 一方「頼む、助けてくれ。この通りだ」 芳川「ど、土下座!?」 芳川(この子が土下座……何があったの?) 一方(背に腹は変えられねェな……お姫様は俺が取り返す!!) 芳川「じゃあまたね。仕事に行ってくるわ」 一方「……」 一方(ババアに頭下げて収穫なしだと……? ふざけンァんヴォあヴォイあものヴぉいあお!!) 芳川(背中からなんか出てる……) ガチャン 一方「……クソッタレ」 道端 一方(まてよ……芳川で思い出したがもう一度打ち止めを作りな直し――) 一方(何いってンだ! そんなことしたら、またあの野郎に殴られるしそもそも、それは禁忌……) 一方「そうだ! あの野郎で思い出したが能力の可能性も十分あるじゃねェか!!」 幼女’s「ねぇねぇセンセー。あのヒトがこっちに笑顔向けてるー」 幼稚園の先生「見たらだめよ。早くいきましょ」 一方「気力回復! だったら、打ち止めにはあの体を堪能させて、飽きた頃野郎に触らせれないい」 一方「クククッ、計画通り」ニヤリ 操車場 一方「いやー、そうと分かれば、ババアも悪くねェな」 御坂妹「げっ!?」 一方「ははっ、そう嫌な顔すんなよ。オマエには特別にキャンディをやるぜ」 御坂妹「こんなもの要らないのですが……とミサカは汚物を見るような汚物を目で睨みつけます」 一方「そォ言うなって。ところで幻想殺し何処に居るか知ってるか?」 御坂妹(……爽やかスマイル気持ち悪いですね) 御坂妹「公園にいましたよ。とミサカは公園の方向に指を向けます」 一方「ほうほう、ご苦労さン。いやー、悩みが晴れると気分がいいぜ。じゃァな」 御坂妹「学生がこんな時間に公園にいるわけ無いだろ。とミサカはアホを鼻で笑います」 公園 一方「……居ねェな」 一方(すれ違い……なのか?) ~~~~ 打ち止め『やっほー早く早く! ってミサカはミサカは足の遅いあなたに憤慨してみたり!!』 一方『うるせェな……ちょっと待ってろガキ』 打ち止め『エヘヘヘヘッ』 一方『なァに笑ってんだ。糞ガキ』 ~~~~ 一方「懐かしいなァ……」グズッ 一方「すれ違いかァ」ポロポロ 上条「夏の課題忘れるなんて不幸だな~っと」 一方「いやがったな! ヒーロー!!」 上条「げっ!?」 一方「そう嫌な顔すンなよ~」 上条(なんなんですか? このフレンドリーな一方通行は!? 気持ち悪い!!) 一方「頼みがあンだけどよォ。頃合い見計らって打ち止めに触れてくんね?」 上条「いいけど、何で?」 一方「冥土返しが調整しくって身体がちょっとな。奴に限ってミスはねェと思うし多分、能力し――」 上条「ああ、さっき触ったぜ。あいつウチのクラスに転向してきたんだ」 一方「え?」 上条「触ったけど特に何も無かったけど」 一方「」 一方「……冗談だろ?」 上条「いやー最初驚いたぜ。あの小さい打ち止めがあんなに大きくなって」 一方「オマエにも辛い思いをさせたみたいだな」 上条「え? 何で?」 一方「だって、あんなにバカでかくなって……」 上条「すげぇスタイルよくて可愛かったぜ。あいつクラスでモテモテだったぞ?」 一方「やっぱオマエとは気が合わねェようだな。勝負だ三下ァ!!」 上条「え? 何でですか!?」 一方「ウラァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」 上条(何こいつ!?) 一方「じゃlんふぁmcfはkほ」殺fなほcfかhペドjふぁんちょえ!!」 上条(白昼どうどうと……一発殴っとこう) 上条「せい!」 ガツッ! キューーーーーーーーーーーン 上条(え? 今何か打ち消した? 反射?) 一方「ンあ? 痛ってェな……何で俺殴られてンだ?」 上条「一方通行?」 一方「……何で俺を殴ったンですか? オイ!」 上条「いや、お前が襲ってきたから……」 一方「はァ?」 上条「え?」 10分後 上条「ってな訳でして、あなた様がわたくし上条当麻を襲ってきた次第です」 一方「打ち止めが高校生だァ? ……冗談だろ?」 上条「そんなに嫌なのか?」 一方「別に?」 上条「え? さっきと言ってること違うんじゃ……」 一方「別にいいじゃねェか。図体変わろォが、打ち止めは打ち止めだろ」 上条「ああ、そうだな」 一方「別に切れる要因がねェよ」 上条(……なにがどうなってんだよ) 学校 上条「ただいま帰りましたよ」 子萌「遅いですよ上条ちゃん。授業終わっちゃいましたよー」 上条「すいません。変な奴に絡まれちゃいまして……はい課題です」 子萌「はい。受け取りました」 上条(もう一回打ち止めに触ってみようかな) 一方通行の自室 一方「何だこのロリ本の山は!? 気持ちワリィな」 一方「ロリ本とか……土御門がなンかしたのか?」 芳川「一方通行? 入るわね」 ガチャ 一方「ああ? まァいい……」 芳川「今朝の相談についてなんだけど……」 一方「……ワケなかったな」 芳川「そんな本両手に持って……相当病んでいるようね」 一方「違う……話を聞け」 芳川「全て察したわ。あなたロリコン――」 一方「ちげェよ!!」 芳川「家族会議ね」 一方「……糞ォ」ポロポロ 夕飯 打ち止め「うえーーーーーん」ポロポロ 芳川「打ち止めには辛いだろうけど」 黄泉川「一方通行……最低じゃん」 一方「ちげェよ! コレには何かデカイ陰謀が――」 芳川「あなたが生粋のロリコンだろすると、今朝の不可解な言動も理解できるわね」 黄泉川「……信じたくないが、しばらく打ち止めとは離れたほうがいいじゃん」 一方「話を……」 打ち止め「だからミサカに冷たくなったんだ! うわーーーーーーーーん!!」ポロポロ 黄泉川「少し頭を冷やせ。一方通行」 一方「何がどォしてこォなった……」 打ち止め「うう……ヒック……うううっ」ポロポロ 芳川「大丈夫よ、きっと色々あったのよ。そもそも一方通行がロリコンな訳ないじゃない」 黄泉川「ああ、私たちも少しいい過ぎたじゃん? 頭に血が上り過ぎた」 芳川「打ち止め? 落ち着いたら皆で仲直りのパーティーを開きましょう?」 打ち止め「う……うん。グズッ」ポロポロ プルルルルルルルルr 芳川「電話……一方通行のみたいね?」 黄泉川「あいつが可笑しくなった原因かもしれないじゃん。ちょっと出てやる!」 芳川「ちょっと、いくらなんでもやり過ぎ――」 冥土返し『一方通行、夜遅くごめんね? 例の幼稚園巡回の件だけどいいかな?』 黄泉川「」 芳川「」 打ち止め「」 公園 一方「……クソったれ」 一方(何で俺がロリコンなンだよ。どいつもこいつも、俺がオカシイって気付けよ……) 幼女B「わーい、わーい!」 幼女A「こっちこっち~」 一方「……」 上条「おーい、一方通行!」 一方「ああァ? 何のようだ、気安く話しかけンじゃねェよ。[ピーーー]ぞ」 上条「お前……俺が誰のために走りまわったと思って」 一方「はァ?」 上条「お前、家追い出されたらしいじゃないか」 一方「……」 上条「俺は解ってるぜ。魔術のせいじゃ無い事はインデックスから確認済みだ。きっと超能力だ」 一方「オマエ、本気で俺のことを……!」 上条「当たり前だろ。お前だって辛い事はあるよな?」 一方「ありがとう……礼を言う」 上条「へへっ、別にいいって」 上条(一方通行の奴、丸くなったなぁ) 一方「くそォ……どォして」 幼女A「わーい、わーい」 上条(本気で落ち込んでるんだな) 一方「どォして……!」 幼女B「えへへ」 上条「一方通行、あまり気に病まないで――」 一方「どォしてあンなに、あの子達は可愛いンだ!!」 上条「」 一方(……ピクリともしねェぞ) 一方「何なンだよ、あの屈託の無い笑顔! 澄み切った目!」 上条「……一方通行」 一方「あの清らかさ、化石共には出せねェよな!!」 上条「……」ヒタッ 一方「プリチーすぎるz……」 上条「……目は冷めたか?」 一方「……あれ?」 上条「……またトランスしてたぞ」 一方「……またかよ」 上条「お前、ホントにロリコンじゃないんだよな?」 一方「当たり前だろォが。ガキはガキでしかねェよ」 上条「だよな……よかった」 一方「俺……どォだった?」 上条「犯罪者だった。打ち止めが泣くのも肯けた」 一方「くっそォ……」 上条「強力するから早く解決させようぜ」 一方「ふざけンな。何でオマエの助けを――」 上条「お前のためじゃねえよ。打ち止めのためだ」 一方「!」 上条「安いプライドで汚名付けたままにしてんじゃねえよ」 一方「……わかった。頼む」 上条「おう!」 上条(こいつ、いつからロリコン化してるのかわかんねえ……) 上条「とりあえず、俺は心理関連の能力者を当たってみるよ」 一方「伝はあンのかよ?」 上条「一応色々な能力者に出会ってきたからな。わらしべみたいに情報手に入れるよ」 一方「なら俺は……」 上条「まずは打ち止めと話しあってこいよ。時間が経つと気まずいぞ」 一方「ああァ、すまない」 上条「お、おう」 一方「……」トボトボ 上条「……背中が小さいな」 道端 一方(でけェ借りができちまったな) 引率「はーい! ここでお昼ですよー!」 幼女C「わーい!」 幼女D「お腹へったー!!」 一方(ガキはガキだろォが……) 一方(どちらかと言えば、引率の方がタイプなンだか……なァ) 海原「一方通行? 何をやっているんですか?」 一方「海原かよ。打ち止め探してンだ」 海原「電話をかければいいじゃないですか」 一方「電話でねェンだよ」 海原「噂は本当だったようですね」 一方「噂だァ?」 海原「ええ、何でも一方通行が本性をさらけ出すようになったか」 一方「本性じゃねェよ!!」 海原「ですが、今も幼児を見ているじゃないですか」 一方「そりゃァ、視界に入れば嫌でも見るに決まってンだろ」 海原「よかった……どうやら貴方はロリコンじゃないようですね」 一方「当たり前だろ……」 海原「どうやら、貴方を誤解して――」 一方「俺はロリコンなンかじゃねェよ! この俺は学園都市最強のペドリストだ!!」 海原「ペ、ペド……リ?」 一方「産婦人科行ってくるわ」 海原「やめてください!」 海原「ちょっと大丈夫ですか? 洒落にならないですよ!」 一方「ペードペードペド、女の子! まん丸オメメの可愛い子~」 海原「一方通行!!」ガツッ 一方「ゴボッ」ドガッ 一方「」 海原「簡単に攻撃が通った? ……しかも弱い」 一方「」 海原「一方通行? 大丈夫ですか?」 一方「お、俺はどォしてまた殴られて……?」 海原「何が何だかわからない」 道端 上条「おーい、御坂ー!」 美琴「あ!」 美琴(あっちから話かけるなんて珍しいわね///) 上条「一方通行がロリコンでヤバイんだ! 手を貸してくれ!!」 美琴「」 上条「御坂? 一方通行がホントにヤバイんだよ! ロリコンをこじらせそうなんだよ!!」 美琴「」 上条「御坂!?」 美琴「猥談は男同士でやってよ」 上条「?」 美琴「と、とにかくじゃあね!」 トコトコ 上条「御坂の奴どうしたんだ?」 上条「まあいいか」 ~~~~ 美琴(うう~、顔熱くなってきた~) 美琴「って、あれ!? 一方通行がロリコン!? え? え?」 美琴「ちょっとアンタ! 一方通行がロリコンってどういう――」 美琴「……居ないし」 打ち止め「お姉さまーーーーー!!」 美琴「だ、誰!?」 打ち止め「ミサカのシリアルナンバー20001だよ! ってミサカはミサカはアホ毛を見せながら胸を張ってみたり!」 美琴(何この巨乳……羨ましい) 美琴「って打ち止め!? なんで大きくなってんのよ!?」 打ち止め「冥土返しが調整失敗しちゃったんだよ!」 美琴「ちょっと掻い摘みすぎ! 詳しく話しなさいよ!」 打ち止め「? ……うん」 ファミレス 美琴「そんなことが……」 打ち止め「……うん」 美琴「大変だったのね」 打ち止め「……うん」グズッ 美琴「よしよし、私も協力するから、元気出して! ね?」 打ち止め「うえーーーーーーーーーーん!」ポロポロ 美琴「よしよし」 美琴(一方通行、覚えてなさい) 美琴「(……一方通行がロリコンで打ち止めを捨てて)」ブツブツ 佐天「あれ? 御坂さんどうしたんですか?」 美琴「一方通行はロリコンなのよ」 佐天「え? ロリっ? いきなりなんですか!?」 美琴「助けて! あいつは絶対許さない。色々な戦力を集めたいから、みんなに相談するわ!」 佐天「わ、解りました! 私もみんなに言ってきます!!」 美琴「一方通行ェ……」 一方通行・自室 一方「打ち止めのためにも絶対誤解を解いてやる」 一方(それにしても何だァ? このロリ本の山は……なんか増えてねェか?) 道端 上条「誰か~! 一方通行がロリコン化しちまってんだ! 誰か助けてくれぇぇぇええええええ!!」 学校 佐天「学園都市の第1位がロリコンなんだって。色々な能力者を集めて倒すらしいよ」 初春「世も末ですね……」 3日後・公園 一方「おいィィィィィいいいいいいいいいいい! オマっ!? 噂が一人歩きしてンじゃねェか!!」 上条「……なんでだろうな?」 一方「くそが! 何で俺が胎児にしか興味が沸かねェ変態になってンだよ!!!」 上条「……一応聞くけどそういう趣味は無いんだよな?」 一方「当たり前だろォが……」 上条「糞っ!」 一方「ごぼっ!?」 上条「目は冷めたかよ?」 一方「……また記憶がトンでやがる」 上条「ほら、大変だけど今日も頑張ろう」 一方「おう……」 上条「誰か~! この人はロリコンじゃないんです! 本当です!!」 一方「おい! ちょっ!? オマエェェェェェェェええええええええええ!!」 上条「誰か~!! 助けてくださぁぁぁぁぁぁぁああああああああああい!!!」 一方「全部オマエのせいかァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 上条「え? 俺はただ助けを募って……」 一方「オマエが犯人だったンですか? なあ! おい!! オラァァあああ!!!!」 上条「ちょっと痛い! やめてよ!!」 一方「くっそォォォォォォおおおおおおおお!!!」 道端 上条「あ~不幸な目にあった……」 青ピ「おうかみやん! お久~」 上条「青髪ピアスか……」 青ピ「ロリコンが大変なんやて? かみやんも不幸だね~」 上条「まあな。疲れたし帰って寝るわ。じゃあな」 青ピ「ほなさいなら~」 青ピ「……計画通り。クククククッ」 つづく 上条「ふぅ……よかっt」 一方「あっ! そこの妊婦さん! お腹触らせて貰ってもいいですか!?」 上条「」
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1002.html
美琴が破壊した電球の責任を問われる前に、四人は逃げるようにデパートを後にした。季節 も本腰を入れて移り変わろうとしているのか日が落ちるのも大分遅くなった。オレンジ色の夕 日が学園都市中を柔らかく包む。夕日がビルとビルの間から覗く光景は、そのまま切り取って 額縁にでも入れればそれでもう立派な芸術だろう。そんな科学と自然が織りなすキャンパスの 中で、当麻と美琴は飽きることなくやっぱりじゃれていた。 「お前バカですか!? デパート中の電球壊すとか一体いくらかかると思ってんだよ!?」 「あーもー、うっさいわね。過ぎた事にクヨクヨしてんじゃないわよ」 「監視カメラに映ってませんように……俺に賠償金来ませんように……」 胸の前で手を組み、オカルトを真っ向から否定する立場の学園都市の人間が神頼みする。デ パート全ての電球代なんて一体いくらするのか見当もつかない。何十万円か、はたまた何百万 円か。美琴はどうだかは知らないが、当麻にそんな額を払うほどの余裕は無い。月に一回の仕 送りはきっかり五万円。そこから食費やら光熱費やら出さなければいけない上、大食漢の居候 に猫までいるのだ。ただでさえ苦しい家計なのにその上借金まで抱えるなんて自己破産街道ま っしぐらだ。 「よかったですね。二人が仲直り出来て」 「三下にもうちょい脳みそがありゃァ、なお良かったンだけどな」 「んー。でもそういう所が上条さんの魅力と言えば魅力と言えなくもない様な……」 「言えねェだろ、鈍感すぎンぞ。俺でもなンとなく分かるってのによォ」 「デスヨネ」 「御坂苦労すンぞ。アレ」 「御坂さんは御坂さんでアレですから」 「まァな」 相変わらず前でじゃれている二人の後を歩きながら、佐天はふと気付いく。一方通行と躓く 事なく話が出来てる。朝は大分無理をして、それでも会話と沈黙の時間が半々だったのに、今 は友達と話すのと変わらないぐらい自然に話せている。一方通行も返事をするだけでなく、話 を返してくれる。 慣れた。そう言ってしまえばお終いだし、確かに一日一緒にいて慣れたのもあるだろうが、 それだけではないと思いたい。佐天としてはもうすっかり一方通行とは『友達』だと思ってい る。『ただ今日一日一緒にいただけの友達の友達』ではなく『友達』だと。二人で話をしてい て楽しいし、一緒に居ても苦しくない。呆れながらも見せる美琴や当麻への気配りや優しさは 素敵だと思うし、自分が正面に居る時は目を見て話すのも、今のように並んで歩いていて時折 気にするようにこちらに視線を向けてくれるのも好感度大だ。初めて一緒に遊んだ男性が、一 方通行でよかったと思う。 「ねー、ちょっと早いけど今日はこれでお開きでいいかしら?」 「悪い! 俺晩飯の金も無くなっちまったんだ。まだ夜は少し冷えるし立ち話でもして風邪引 くのもアレだしさ」 少し前を歩いていた当麻と美琴が振り返る。 「私も門限あるし……っていうか門限よりも黒子に色々詮索されるのウザいし。もし黒子が私 を探しに来て、この現場を見られたらもう黒子殺すしかないし……」 「えっ」 「まァそう言う事なら仕方ねェな。どォせ俺が奢るとか言ってもお前は……」 「いや! 今日は昼メシ奢ってもらってるしこれ以上は悪いからいいよ」 「だろうよ」 「なら、今日は解散しましょうか」 「悪いな佐天さん」 「いえいえ」 本音を言えば、もう少し一緒にいて、もう少し一緒に話したかった。しかし自分の我儘で当 麻の言う通りみんなが風邪をひくのは申し訳ない。 「じゃあまた今度な! 俺は御坂送って行くことになってるから!」 「またね。佐天さん、一方通行」 「おォ」 「おつかれでーす。今日はありがとうございましたっ」 美琴は当麻の横に並ぶと今まで持たせていた荷物を受け取ろうとする。「いいよ、結構重い し家まで運んでやる」と当麻は渡さなかったが、美琴が強引に片方の荷物を奪っていた。 「あの二人はホントに仲良いですねー。あっ結構綺麗かも」 佐天は携帯を取り出すとカメラ機能を起動した。そして二人の背中を画面の中心に入れると カシャッとシャッターを切る。オレンジの西日で薄く化粧をした薄雲、広がり始めた紺色の空、 肩がぶつかるくらいの距離で並んで歩く二人。科学と自然の織り成す芸術がまた一つ生まれた。 「うんっ。いい感じ! あとで御坂さんに送ってあげよう」 「また顔赤くすンじゃねェの?」 「あはっ。確かにそうかもですね」 写真をきっちり保存して携帯をパチンと閉じる。同時に街の至る所に設置されてあるスピー カーから六時を告げるメロディーが流れた。中学生以上の人間は誰も気にしないが、小学生に とっては強制帰宅の合図だ。高学年になるにつれ、それを守る人間なんていなくなるが。 「一方通行さんも、今日はありがとうございました」 「別に……暇だったから来ただけだっての」 「また暇だったら遊んでくれますか?」 「おゥ」 「やった! なら今度メールしますねっ!」 「はィはィ」 「それじゃ、私はこっちなんで……」 「あっ、おィ」 「なんですか?」 「いや、アレだ…………帰り道なンかあったら俺に連絡しろ」 「子供扱いしないでくださいよっ」 フフッと笑って佐天は当麻たちとは逆側へ歩いて行く。何度か振り返り一方通行に手を振り ながら歩くもんだから、一方通行も中々背を向けて歩き出せない。結局、佐天が角を曲がって 姿が見えなくなるまで、一方通行は佐天が振り返るたび手を振っていたのだった。 「だァー、疲れた」 一方通行が自宅の玄関前に備え付けてある落下防止用の手すりにコツンと軽く額をぶつける。 ドアを開ければソファがあって、ココで立っているより暖かいし落ち着けるが、今はそれはし たくない。顔をあげると先ほどまでオレンジと紺のグラデーションが綺麗だった空は、すっか り紺一色の夜の顔になっていた。 三人と待ち合わせをして地下街に行く時、佐天は異性と遊ぶのが初めてだと言っていた。だ から今日は楽しみだと。しかしそれは一方通行だって変わらない。一方通行だって、同年代の 異性遊ぶのは初めてだった。それでも家には打ち止めもいるし黄泉川もいるから自然に話すこ とぐらい簡単だと思ってた。しかし、いざ二人きりになるとそうもいかない。地下街までの道 のりは正直かなりきつかった。佐天が色々話しかけてくれていたのに返事をするのがやっとだ った。当麻が美琴と手を繋いでるのを見てそれが普通なのかと真似したのも手伝って緊張しっ ぱなしだったのだ。佐天は何も言わなかったが、おそらく手汗も酷かっただろう。 ギュッと手を握って開く。さっきまで感じられていた温かみはもう感じられす、代わりに少 し冷たい夜風が指の間を通って行った。 「佐天涙子」 不意に名前を呼んでみたくなった。それが何故だか一方通行自身にはわからない。ただ、今 日一日佐天がいた隣が少し寂しい。ぽっかりと穴が開いたような、そんな気分だ。今日は楽し かった……と思う。色々慣れない事をして、緊張や疲れは有ったが楽しかった。佐天は魅力の ある女性だとも思った。だから最後に分かれる時、柄にもなく送ってやる。とか言いそうにな ったのだ。結局踏みとどまったが。当麻といるとちょっと感覚がおかしくなると、一方通行は 当麻のせいにしてみた。 ふと佐天の見せるヒマワリのような笑顔が脳裏に浮かぶ。ついでに無邪気な明るい声も。 ガツンッと再び手すりに額をぶつけた。今度はかなり強めに。ジンジンと痛みが広がって行 き、一方通行の額には一本の赤い線が出来てしまった。 「なァに考えてンだ俺は」 どうせ今日一日だけの、期間限定の出来事なんだから。アドレスと電話番号の交換もしたが 多分掛かってくる事は無いだろう。自分はただの練習相手。今日で佐天も男といるのには慣れ ただろうし、これからは誰か適当な相手を見つけて付き合うんだろう。結構、可愛かったし佐 天がその気になれば拒否する男なんていな…… 全力で手すりに向かって頭を叩きつける。鉄製のパイプは少しへこんで一方通行の額からは 真っ赤な血が滲みでる。痛い。もんのすごく痛い。それでももう一度同じ強さでぶつける。 「寒いからな。寒さで思考回路オカシクなってンだろ。さっさと家入って温まンねェとな」 額を割り、血を垂れ流しながらドアノブを回す。寒さとか痛みとか痛みとかでさっきの雑念 はもう忘れた。事にした。 「あァ?」 ドアノブを引くが、鍵がかかっているのかドアは開かない。もう一度ドアを引いてみるが結 果は同じだ。外気でドアノブが冷やされたのだろう、手のひらに冷たい感覚が広がる。 「おィおィおィ、マジですかァ?」 今日は打ち止めも黄泉川も芳川も何処にも行かないと言っていたので鍵を持って出ていない。 寝坊気味の昼寝でもしてるのかとインターホンを押してみるが、中からの反応もない。能力を 使えばドアの一つや二つ訳ないが、そんな事したら夜寒いし、何より黄泉川に怒られる。ここ だけの話、怒った黄泉川は結構怖い。自分が怒られた事は無いが、たまに打ち止めが叱られて るのを見て、一方通行は決心した。黄泉川だけは怒らせない。アレが自分に向けられるとなる と泣いちゃうかもしれない。 一方通行は携帯を取り出して電話帳を開いた。そしてヤ行の欄まで操作し、上から二番目の 黄泉川に電話を掛ける。発信音の後にコールが鳴った。一つ、二つ、三つ。いつもならこのあ たりで出るが今日はなぜかコールが止まない。遂に、黄泉川は電話に出る事は無く、留守番電 話サービスに繋がってしまった。通話を切り、今度はメールを開く。一応メール問い合わせも してみたがやはりなんの連絡もなかった。 「どォなってンだ?」 今度はヤ行の一番上の芳川に電話を掛ける。打ち止めに携帯は持たせてないし、もし芳川も 電話に出なければ誰か帰ってくるまでココで待ち続けなければいけない。店に入ってもいいの だが、額から血を垂れ流した男を受け入れてくれる店なんてあるのだろうか。 「珍しいわね? あなたが私に電話するなんて」 五つ目のコールで芳川が電話に出る。これでとにかく一安心だ。 「家に誰もいねェンだけど」 「私は研究所、二人はお寿司食べに行ったわ。その後カラオケ行くとも言ってたわね」 「俺、そンなン聞いてねェ」 「テーブルに置手紙したでしょ?」 「家に入れねェンだよ」 「え? 鍵は?」 「……家ン中」 「……二人に電話した?」 「出ねェ」 「……」 「……」 二人を沈黙が支配する。これはまさか……そんな事は…… 最悪の事態が一方通行の頭に浮かぶ 「私、あと三時間ぐらいで帰るから」 「えっ? マジで?」 「どこかお店に入っときなさいよ」 「それ出来たら苦労はねェンだよ!」 「……? よくわからないけど私か二人が帰るまで待ってなさい。それじゃあ私忙しいからも う切るわね」 「ちょっ!! てめェ!!」 ブツンと通話が切られる。ディスプレイを睨むが、それで何かが変わるわけでもない。一方 通行初めてのデートの日は、まるで忠犬のように待ちぼうけに始まり、待ちぼうけに終わるの だった。 * * * 時間は少し巻き戻り、美琴たちがデパートを後にして解散した頃まで遡る。謎の電球破壊の 被害にあったデパートでは従業員たちが必死の修復作業に追われ、館内アナウンスでは、危険 なため動かないようにと客に注意を促している。そんな中、一人の少女がゆっくりとした足取 りで化粧室から出てくる。暗闇で顔は窺い知れないが、非常灯の緑の光が胸のあたりで時折反 射している。ネックレスか何かをしているようだ。 「凄い事を。聞いてしまった」 ポツリと呟く。声からは感情が読み取れない。その抑揚のない平坦な声は簡単に闇に吸いこ まれる。少女の近くを懐中電灯と大量の電球を持った従業員が走って行く。それに続いて脚立 を持った従業員も。この階でも復旧作業が始まるのだろう。従業員は脚立を広げると、割れた 電球に注意しながら新品の物に取りかえた。チカチカと瞬いた後、辺りが白い光に照らされる。 光が戻ったその中で、少女は無表情のまま美琴たちが弁償から逃れるために使った階段を見 つめていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/16.html
(時間はややとんで3時間目終了後の休み時間、4時間目ギリギリ) 生徒E「そろそろ授業か…4時間目は小萌先生の化学だったな。とりあえず席つくぞー。」 佐藤「おいばかみじょう。そろそろ席ついたほうが・・・って! おいお前さんが今その手に持ってるのはまさか金のくちばし!?おいおいおい不幸が売りのお前がなんでそんなもん持ってんだ!!!???」 上条「あぁ?これか? なんかさっき廊下で女子にぶつかって落としてたんだけど、急いでたみたいでそのまま慌てて走ってったんだ。やっぱこれ返さなきゃだめかな? 」 土御門「にゃー。俺的には『女子にぶつかって』のところに殺意を覚えるですたい。」 井ノ原姉「んで、それ返してフラグをさらに立てるってか、え?上条さんよぉ?」 井ノ原弟「おい皆!!上条から落し物を奪い取るんだ!!奪った後に落し物を届けに行く権利は早い者勝ちなっ! 」 東原「あれ?そういや上条その前にも落し物拾ってたろ?たぶんハンカチだったと思うけど返しに行かなくても良いのか? 」 生徒E「…!ティンと来たぜ!それはいけないな上条君!ほら、早くその金のくちばしとハンカチを届けるんだ!この際フラグはいいから!(…ククク、今から落とし物を渡しにいけば遅刻は確実だ!) 」 土御門「生徒E!それはだめにゃー!どうせ遅刻したらまた吹寄から殴られて姫神あたりから心配されてフラグの嵐になるのは目に見えてるにゃー!!」 生徒E「ぐっ、そうか……!…っつーかもう本鈴鳴るぞ!早く皆席につけ!落し物は後だ後!ちょうど4時間目だし昼休みにでも決着をつけるぞ!!!」 土御門「にゃー。かみやんのフラグ体質もどうにかなんねーかにゃー 」 形原「上条だぜ?無茶言ってないで席着こうぜ 」 土御門「くっ…!みんなもう慣れっこに!? ……ってあれ?何で小萌センセは泣きそうなんだにゃー? 」 浅志「ついさっき本鈴鳴ったからだよ、みんな気づいてなかったけど」 備萄「げっ!急いで席に着かなきゃ! 」 佐藤「やべぇ、教科書隣のクラスのやつに貸しっぱなしだった!授業中だけど特攻してきます! 」 綾風「あーん!私もだーっ!!まって佐藤君ー!」 東原「せんせー、鈴村と関がまだ保健室から戻ってきてませーん!!」 土御門「にゃー………ヲイヲイ小萌センセが本格的に半泣きだにゃー。」 箕輪「この際・・・いまこの場に居る生徒だけで授業を開始すべきかと・・・ このままじゃ一向に授業が進まない・・・かと 。」 青ピ「そうなんやけどなぁ………なんか今日はやたらと小萌先生泣かせたくなるんよねぇ ……精神系能力者にイタヅラでもされたんかね?」 形原「濡れ衣で変な責任押し付けんな青髪。……っていうかお前が変態なのはもともとだろ。 バカなこと言ってないでさっさと席ついて授業しようぜ?」 青ピ「何失礼な事いってんねん!僕が小萌センセ好きなのはみんな知ってるやろ!!それにみんなだって今日は小萌先生慰めたり騒ぎを止めたりしてないやんか! 」 東原「だって今日まだ上条が不幸になってないし、最初にとめるはずの関とかがいないんだよ。桜井も野上についていってまだいないし 」 箕輪「(いいから早く授業進めようって言ってんだろうが糞ガキどもめ・・・怒)・・・先生・・・俺ちょっとトイレに行きたい・・・・・・かも 」 土御門「仕方ないぜい!不肖ながら恋愛博士の土御門さんが小萌センセを慰めてやるにゃー! 」 小萌「みな・・・さん・・・じ・・・ぎょうを・・・はじめ・・・ますよ・・・ 」 青ピ「もういい加減にはじめないのかねー?泣いてる子萌先生もいいけど♪さすがにこれ以上は・・・」 その時!! 今にも泣き出しそうな(実際に顔を真っ赤で目は潤み身体は小刻みにふるわせている)小萌のクラスのドアを何者かが勢いよく開け放った 災誤「何をしている!貴様ら!」(小萌先生同時に教室から逃げ出す) 青ピ「げっ・・・!ゴリ・・・じゃにゃかった、災誤先生!? 」 上条「うわっ!なんでアイツが!?まさかさっき出て行った箕輪が!?」 災誤「教師を泣かすとは貴様ら何様のつもりだっ!!!!」(叫びながら教室を見わたすゴリラその目はデルタフォースの一角を捕捉する) 土御門「こ・・・ここでゴリ・・・もとい災誤センセが現れるとは・・・!! くそう……真面目にやろうとしたとたんこれにゃー・・・ここは・・・にゃぁ♪(カミやんを見る) 」 青髪ピアスの視線に誘われ、クラス中の視線が 上条に集約される 上条「こ、これはまさかの不幸の予感!せーの、不幸だー!!」教室の外(目をつぶっているせいで災誤先生方面へ)へ全力ダッシュ! 東原「あー・・・、見事なまでな正面衝突だな・・・あれ?双子弟どこいった?」 災誤:自分のムネへ飛び込んできた生徒(上条)の腰に手をやり、軽々と天へ持ち上げ地上(コンクリ)へ向けてっ!!!!パワー・ボム!!! グシャ! 上条「ぶゲぇああぁっ!!!!!」 おもいっきり後頭部をコンクリに打ちつけパワー・ボム後の体勢のまま悶絶する上条 青ピ「……かみやんじゃなかったら死んでるでー。あれ……」 土御門「つーかあのゴリラ古武術だけでなくプロレスまで覚えやがったのかにゃーっ…… 警備員でやればいいのになんで生徒指導でしか使わないんだろうにゃー? 」 黄泉川「コラーっ! 何してるじゃんよー」 どうやら双子弟が救助(レスキュー)を要請したらしい。 「災誤センセー、そんな事したら、職員会議で吊るされるじゃん。」 すでにPTAの出番です!と心の中で抗議する生徒たち 「ほらっ、大丈夫じゃんよー?上条?」 黄泉川に手をひかれ立ち上がる上条だが、ダメージが抜けきっておらず足がもつれた。 結果。 そのまま黄泉川の谷間に突撃。 慌てて離れようとして母性の塊をワシ掴みっ。 黄泉川の表情が消えた。 無言のまま上条の髪の毛をワシ掴むと、紙人形のように振り回し黒板に打ち付ける。 バ ゴんっ!!!そのまま黒板の端から端へ大根おろしよろしく擦り付ける。 そして勢いを殺さず床に叩きつけたっ!!!!! (もうどうやって効果音、表現するか解らん) 青ピ「くっ!ここでもカミやん病がっ!!うらやましすぎるっ!」 土御門「にゃー。……確かに前半はうらやましいが、後半はゴメンだぜい。っつか、カミヤン死んだんじゃにゃーのー?? 」 黄泉川「はっ!ま、また生徒を手にかけてしまったじゃんもうこんなことはしないって自分に誓ったのに……ま、まぁとりあえず上条大丈夫じゃん?」 土御門(またってアンタ、過去にあの惨劇をやったことあるのかにゃーっ!!??) 女子A「かっ上条くん?? だいじょうぶ?」 上条は朦朧とした意識で呼ばれた方向へ歩き出すも、途中で足がもつれて胸へダイブっ 女子A「きゃっ!…か、上条くん?」(困惑の中にどこかうれしさをたたえながら) 東原「ふっ、吹寄!?落ち着いて、あれは事故だよ!!だからその椅子を床に下ろすんだー!! 」 男子A「なぁ、賭けしないか?俺上条が吹寄にも何かするに俺千円っ。」 男子B「おまえ馬鹿だろ、上条キラーに名高い吹寄さんにフラグが立つわけが・・・ 」 吹寄「そこ!男子AB!何をたわけたことを言ってるの!! 」 白雪月夜「小萌先生、電車が止まって遅刻しました~。って、あれ?黄泉川先生とゴ…災誤先生…何やってるの?はっ…誰だ小萌先生なかした奴は!?」 茜側赤音「すみませーん小萌先生ー前に同じで遅れましたーって、わー!ポリゴンゴリラー!!っつか小萌先生泣いてるー!? 」 白雪「赤音ちゃん!聞こえる(ゴリラに)総員静かにして下さい。まずは…せいりちゃん何があったか教えて? 」 北原「今の時間に電車で遅れましたはないだろ。遅れすぎだろうまったく・・・」 白雪「えー…だって、かなり離れてるんだもの。朝五時に起きて、七時に登校。なのに電車が止まるから…歩いてきた私と赤音ちゃんの苦労が…。それに、病院にも行ってたし…。あれ、遅刻するって連絡はいってないの?おかしいなあ…。てか、みんな授業やろうよぉ(ウルウル)前のテスト悪かったからちゃんと勉強したいんだよう…。」 茜川「あ、だれってそりゃないよー。前に二人で転校してきた白雪と茜川だよ。 ああ、そうか北原君はクラス違うから知らなかったのか。ってか何でここにっ!?」 そんなこんなで授業終了10分前 小萌「うう…ひっく…ぐすぐす…。きょ、今日はみんな透け透け見る見るじゃ足りないですよ~…。み、みんなコロンブスの卵なんですよー…。できな…できっかったら…朝まで…ナマ居残りなんですよ…?クスン…。」 茜川「わー!!!!!月詠先生それはだめー!とりあえず東原とポリゴンゴリラは教室に戻ってー!! 」 小萌「も、もう決めたんですよー!コロンブスの卵ですっ!黄泉川先生とさ、災誤先生は帰っ、て下さいなのですよ~…。北原、ちゃっ、もっ、ですよ……!」 (三人を追い出す) (本鈴) 草場陽牙「ホームルーム終わったか~? さっきから隣のクラスで朝飯食ってたら、北原がいきなり••• コモエ先生が泣き止むまで外にいってきます。」 男子F「勘違いしすぎ。おまえ、隣のクラスだろ。」 草場「あれ?じゃあ寝惚けてたのかな?何故か災誤先生が北原にプロレス技を掛けてたのを見て、逃げる様にクラスに戻る夢を••• あれ? 」 白雪「あれ、北原くんのクラスの人?うーん…今四時限目だけど…。北原君は追い出されちゃったよ。 …小萌センセー、お昼にしましょう。あとでコロンブスの卵ですね?……というか、このクラス五人居るかいないかだよねー、念動力者。………あれ、いましたっけ?」 野原「俺がいます!!主に美人のお姉さまと出会うために訓練を!!……身を結ばないけど。あとスカートめくりはしねぇゾ! 」 草場「嘘付け!!お前先日冗談半分で女性のパンツずり落したじゃないかっ!」 白雪「のっ、野原君!?そして、そんな事するのは犯罪だよっ!!!!!よっ黄泉川センセー犯罪者発見です~。 」 茜川「野原君、君みたいなのを最低というんだねー!」(青筋立てて音波系能力、鼓膜破砕起動準備中) 白雪「あ、茜川さん制裁よろしくね♪じゃあ、黄泉川先生よんでくるからっ。小萌先生、ちょっとでてきまーす。」 野原「なんだと!この「チラリズム紳士同盟」にも入っている俺がパンツずり落としなぞに興味を持つか!! あくまで大自然の力で!偶然で!運命で!一心不乱のチラリズムを!!チラリズムのみを愛する俺を!!! チラリズムの命と情熱を賭けるこの野原をパンツずり落としなどというか!! 能力(チカラ)によって生み出された「見せ」などに何の意味もないわ!!! だいたい俺の能力は近づかんとできんのだ!!!俺のカメラはお姉さまとチラリズムのみなのだっゲフォォオオオオオッ!!?」 (茜川にやられてフェードアウト。) 茜川「あ、小萌先生。この人類の屑を冥土返しのところまで引きずってきまーす。 …まぁこんなのでも死んだら私の経歴に傷がつくし。」 白雪「赤音ちゃん、黄泉川先生連れてきたけど……。いらなくなったみたいだね♪」 そんなこんなしている間に4限目の終鈴から15分も過ぎていた。 すでに購買は無数の人だかり。上条のクラスが食料を確保できる可能性は絶望的だ・・・・・。 「・・・脱走だ!脱走するんだ!!」いったい誰がさけんだのか・・・。 かくして、かつての戦場からの帰還者と敗残兵(青ピ)は再び戦場へ集結する。 お昼ゴハンを求めて・・・。 吹寄「実動部隊は前と同じ、上条・土御門・青髪ピアスと私でいいわね? 」 作戦参加者全員「「「「「「異議なしっ!!(上条のおとり能力の高さには定評がある。)」」」」」」 上条「聞こえてますけどねっ!!!!」 そして作戦決行!! 白雪『もしもし!上条くん!?ヨミカワ先生に気づかれ…きゃああ!』ブツッ…ツーツーツー…。 「白雪ーーーーーーーーーーーーーー!!」 上条「くそっ!白雪がやられた!!」 吹寄「つまり、黄泉川先生がこっちに向かってるってこと!? 」 野原「待ってください黄泉川先生!!まだ俺のチラリズム概論はまだ終わってませんよ!せっかくチラリズムの歴史の初期が終わったところなのにっ!!!昼飯?脱走?そんなこと知らない!!俺の情熱をわかって欲しいのです!!モロミエなどという愚かな行為をしたという容疑を晴らすために!!ええい!ゴリラ邪魔すんなぁぁぁぁぁ!!」 野原は災誤によってシャイニングウィザード→パイルドライバー→腕ひしぎ十字という破壊工作を受けた。 『ぐっ…今…気が付いたんだけど…。の、野原君が頑張ってる…。………いや、ホントに自分の容疑はらしたいだけかも…。ご、五分間…おとりやるから…頑張っ…て…」 青ピ「よし、野原ナイスや!あと五分あれば目的地につけるで! 」 黄泉川「ええいっ!!、野原邪魔じゃん!災誤先生、よろしくじゃん!」 女子B『総員に次ぐ! 先生全員にもろばれした模様! ばれたのは男子Aが黄泉川の前でポロリと漏らしたらしい! ちなみにお弁当組らしい!! 黄泉川先生は月夜ちゃんが、ゴリラは野原君が足止めしてるが、その他はもう校外に出た模様!ちなみに小萌先生はここで泣いている! 早く買ってきなさい!!! 茜川『朗報よ! ポリゴンゴリラの制圧に成功!私の能力が直撃したから今から10分は動けないはずよ! …………あ、でも野原もついでに巻き込まれたから彼もリタイアか…… 』 土御門「野原アアアアァァァ!」 茜川「とりあえず黄泉川先生もポリゴンゴリラを抱えて離脱!私は倒れた月夜ちゃんが心配だから 医務室へ行ってきまーす♪ 」 「にゃー!実動部隊へ。現状の作戦を放棄!!各々の判断で最短の逃走ルートに切り替えるにゃー!」 野原「まだ・・・・!!まだ倒れるわけにはいかない!! 何も出来ない!あの人に何も勝てなかった自分が、自分の誇り(命)だけを諦めるわけにはいかないだ!!ぬうぉぉおぉぉぉ!!運命は、まだ運命は俺を倒せない!行くぞ黄泉川先生ぃぃぃぃぃ!!」 背後にチラリズム万歳的な炎をあげながら彼は雄叫びを上げる。が、しかし黄泉川先生はとっくにポリゴンゴリラを抱えて立ち去っているのであった。 生徒E「……不憫なり、野原…。 それとだ。…もうどれだけ早く帰って来ても手遅れだと思うぞ。 誰が実働部隊だったかは居ない奴数えれば分かることだし。 」 上条「うわあああ!不幸だぁーーー!! 」 白雪「ま、待って…妙案があるわっ、全員散って…!トイレでもどこでもいい、散開して…誰がいないかわからなく…!」 生徒E「待て白雪、それは被害を全員に拡大するだけで解決策になってねぇ!!一応まだ説教途中だから逃げたらマズいぞ!…いや待てよ。、ゴリラKOした時点でアウトだからもう何してもいいのか? 」 白雪「もう…全員終わってるわよ…誰も、止めなかったじゃない…。な、なら…全員そろってた方がいいわ…。お、押し付けはよくない…。どうせ…後で…皆でコロンブスの…卵…野原君以外…クリアでき…」 土御門『アホかー! 諦めんな白雪ー!!とりあえず顔がわれた実動部隊とその他は捨石だにゃー!生き残りは教室に戻って無関係を装うんだ! …それから。裏切り者の男子Eをシメとけーーーーー!!!!!』 そのころ上条の後ろを数学教師(親船素甘)がでかい三角定規とコンパスを手に追い回していた。 まるで蛇のように息を吐きながら三角定規を投げる びゅおおん!!!! と。 白雪『す、捨て石は…私と、実動部隊…野原君は…微妙ね…。あ、赤音ちゃんもだめだわ…。 じゃあ…最低でも六人か…。ところで…………不幸な上条くんは大丈夫? 』 東原「あーほらほら子萌先生泣きやんで。飴あげるから。4つあげるからー(イチゴ、ミルク、レモン、ハッカ) 」 小萌「なっ…こ、子供扱いするなですよー!ひ、東原ちゃんがひどいのですよー! はっかは嫌いなのですよ!」 男子A「そっちかよっ!?」 姫神「ところで。そろそろ帰ってくる。気がするけど。そして。小萌。飴玉で騙されてる。…………お弁当。持って来てて良かった。 」 かくてお弁当ゲット大作戦は無事(?)成功した。 吹寄「ほら買ってきたわよ!十人分しかなかったけど!あれ?他のやつらは? 」 茜川「はーい! 私と月夜ちゃんならいるよーっ!」 白雪「ところでさ、ほんとは私お弁当だったんだ……。五分で食べたから気付いてないかも知れないけど……。あ、赤音ちゃん、余ったパンいらない? 」 茜川「いるー!ありがとー月夜ちゃんっ!!!!」 生徒E「あ、俺も居るから頼…ぐはぁ!?やめろ、なぜ殴るー!?大体裏切って計画漏らしたのは生徒Aだろ!俺は何もしてな…え?先生気づいてなかった?…成る程、そりゃどうz」後半は打撃音になっていた。 東原「お?野原お帰りー。ちゃっかりお前昼飯買ってくるなよ。俺、たくあんと塩にぎりだけなのにさー」(微妙に燃えつきかけている野原を見て) 女子B「上条当麻が頭に打撲傷を負っていま保健室!土御門元春、青髪ピアス、吹寄制理はどうなった?」(以上、保健室より) しばらく後。 白雪「ん?あれ、小萌先生。今日皆先生の授業聞かなかったから、コロンブスのたまごっ!?」背後から数名に口をふさがれた! 茜川「(ひそひそ)月夜ちゃん、だめだって!ラッキーなことに忘れてくれてるんだからっ! そんなこといったらみんなから睨まれちゃうよ!え?どうしても喋いたい?じゃあ仕方ない、ごめんね月夜ちゃん」 (最低出力で能力発動、月夜即気絶) 青ピ「いやー。あぶない、あぶない。コロンブスはいややからねー。」 小萌「青髪ちゃんと赤音ちゃんと上条ちゃんと土御門ちゃんと白雪ちゃんと野原ちゃん、吹寄ちゃんはみるみる衰弱なのですよー。」それは一体何かというと、神経衰弱を目隠しでやることである。 東原が騒動の片づけをしつつボソッと一言。「せんせー、野原最近(直感的な)心眼を(気合で)身に着けたからたぶんあっさりクリアされるよ。」 小萌「じゃあトランプカードもなのですー。両方できたら帰っていいのですよー。」 トランプカードとはトランプを立たせる。ちなみに特殊な素材でできているため、異常に破けやすい。正真正銘念動力者のために作られた特別なカード。レベル3でも苦戦するのだ。 野原「ちょっ!東原、なに口走ってんだよ!?」 東原「黙れ・・・・、この間テメェが街角チラリズムキャッチとか言ってぶらついてたから俺まで巻き込まれたこと忘れてんのか?なんかテレポーターの風紀委員とか出てきて北原とか西原とか南原とか中原とかその他もろもろまで出てきて俺の大事なにゃんこ発見がパーになったんだぞ・・・!黙って受けとけコレくらい。ガタガタ抜かすと 無・双・三・段 食らわすぞ?」(モップの柄を持ちつつ) その頃。 白雪「あ、赤音ちゃん、私は口で言って聞く人だよ!み、耳がぁ…。いたあい、ひ、どいよーっ!今日耳鼻科に行ってきて鼓膜が破れてるって言われたばっかなんだよ?ああ、病院いかないと…。先生、ちょっと耳鼻科行ってきていいですか? 」 ちなみに、今日病院で診察を受けたのも、一緒に居てブレイクサウンドの余波を受けてしまったためである。茜川、友達は大事にしろ。 茜川「ご、ごめん月夜ちゃん…思ったより威力出ちゃってさ…。」ポリポリ 白雪「あ、そーだ赤音ちゃんも一緒に来てくれない?」 (みるみる衰弱やらないで済むかもなー。押し付けはよくないけど、ここは赤音ちゃんの為ってことで♪) 茜川「わかったよ、月夜ちゃん(ヨッシャ、さぼれるっ!!)じゃあ今から行く? 小萌せんせー!耳鼻科に行ってきまーす!月夜ちゃん、私かなり腕がいいってうわさの医者を知っているからそこ行く? 」 白雪「あ、じゃあお願い。」ドアを開けて二人で逃亡。
https://w.atwiki.jp/soulpots6/pages/440.html
配置 命蘇る奈落の主腐獅王マンティコアゾンビ 命蘇る奈落のモンスター這上るゾンビクライマー 半生獣ネクロテリウム 奈落蜘蛛 跳飛バウンドドッグ 黄泉川遡上鮭 半死半生のハーフスケルトン 転戦オニギリヘッド ブーメランバット 獄道落ミツユビトカゲ雑感 配置 這上るゾンビクライマー 跳飛バウンドドッグ 3 4 半生獣ネクロテリウム 6 半死半生のハーフスケルトン ブーメランバット 奈落蜘蛛 10 11 獄道落ミツユビトカゲ 腐獅王マンティコアゾンビ 13 黄泉川遡上鮭 転戦オニギリヘッド 16 ※-:出現しないマス 命蘇る奈落の主 腐獅王マンティコアゾンビ 種族 不死 属性 命闇 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 命闇+~ 射撃 3.5? 腐獅心殴により属性付与 スキル 腐毒尾クリムゾンスピア 命+~ 射撃 3.5? 敵単 ダメージ必ず腐食追加猛毒・麻痺・スタン追加 スキル 紅毛針スティンキーレイン 命闇+~ 射撃 3.5? 敵× ダメージTPダメージ追加 ガード その他 腐獅心殴 自身 通常攻撃に命闇属性を付与 ※(弓or霊銃)所持 命蘇る奈落のモンスター 這上るゾンビクライマー 種族 不死 属性 闇 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 闇+~ 打撃 1.0 呪い追加 スキル 這上混沌 闇+~ 打撃 1.0 敵単 ダメージ ガード カウンタ 直接 確率で反撃 その他 ※縋りつくクライミンググローブ(ナックル/闇/呪い追加Lv12)所持 半生獣ネクロテリウム 種族 獣 属性 無 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 打撃 1.5 骨折追加 スキル 命懸けナマケロール 無 打撃 1.5 敵単 ダメージ必ず骨折追加自身にダメージ ガード ブロッキング 直接 ダメージ軽減 その他 ※半生杖ネクラナミコ(錫杖/骨折追加Lv12)所持 奈落蜘蛛 種族 蟲 属性 無 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 斬撃 1.5 生命還元 スキル 黒網地獄平 無 斬撃 1.5 敵× ダメージ待機ゲージが10~25上昇 ガード マイティガード 全 ダメージ軽減 その他 ※救いの蜘蛛糸剣(長剣/生命還元Lv14)所持 ※黒網地獄平の待機ゲージ上昇量は10~25を確認 跳飛バウンドドッグ 種族 種 属性 無 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 射撃 2.5 スキル バウンドボールボディプレス 無 射撃 2.5 敵単 ダメージ必ずGブレイク ガード サイドステップ 魔法 確率で回避 その他 ※跳飛ぶリバウンドゴム銃(銃)所持 黄泉川遡上鮭 種族 魚 属性 水 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 水+~ 射撃 2.5 スキル 地獄のサーモンラン 水闇+~ 射撃 2.5 敵貫 ダメージ ガード ディフレクト 直接 確率で回避 その他 ※銀鮭シルバーヘッド(弩/水/水21%)所持 半死半生のハーフスケルトン 種族 不死 属性 闇 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 闇+~ 音撃 3.0 スキル 全死全焼 炎闇+~ 音撃 3.0 敵縦 ダメージ ガード マイティガード 全 ダメージ軽減 その他 ※ハーフカスタネット(楽器/闇/闇21%)所持 転戦オニギリヘッド 種族 精霊 属性 命 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 命+~ 魔撃 3.0 スキル トライアングルカドヘッド 命+~ 魔撃 3.0 敵単 ダメージ ガード サイドステップ 魔法 確率で回避 その他 ※黒板海苔(カード/命/命21%)所持 ブーメランバット 種族 獣 属性 無 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 神撃 2.5 睡眠追加 スキル リバースファング 無 神撃 2.5 敵単 2回ダメージ ガード ディフレクト 直接 確率で回避 その他 ※転閃クロスブーメラン(十字架/睡眠追加Lv18)所持 獄道落ミツユビトカゲ 種族 爬虫 属性 無 - 行動名 属性 攻種 射程 対象 効果 通常攻撃 - 無 神撃 2.5 スキル 獄道輪廻 命+~ 神撃 2.5 敵円 ダメージ ガード マジックカウンタ 魔法 確率で反撃 その他 ※獄道注射チノサカズキ(注射器)所持 ※共通所持品 救世手グレートハンド(小手/命/睡眠呪い抵抗*4) 救戦士の十字勲章(腕章/命/睡眠呪い抵抗*4) 黄泉の河渡しの着物(着物/闇/命闇12%) 冥府の土産物屋の制服(法衣/闇/命闇12%) 形状復元眼鏡(眼鏡/スタン骨折抵抗*4) 地獄の往復切符(お守り/スタン骨折抵抗*4) タイプ:フィールド 属性:命&闇(鉄に弱く地に強い)(星に弱く花に強い) マップLv:277(278~281) スキップLv:290~292 クリアボーナス:SB+15 ぬしLv:293~ ぬし魂片 名称 種族 Lv 属性 ギフト 腐獅王マンティコアゾンビ 不死 93 命 腐獅強化 腐獅強化 アイテムの命中力が+300 / 行動力が+175 / 命闇属性値が+18性能変化のみ生成強化時にも効果適用 / 生成使用時、固有スロットに『命闇18%』付与 重複× 雑感 轟く雷尾彗星の原野、または木船と鉄艦の船墓場を通り過ぎて到着する谷。 深く細いその地形により、谷底には光が届かず、洞窟のようになっている。 真っ暗な谷底を横目に進んでいくと、落ちていったものが宙空で止まる。「腐獅王マンティコアゾンビ」の餌食となったのだ。 ぬしを仕留めるとマップクリア。各種クリアボーナスと聖雪降る白河山のマップを獲得する。 光届かぬ底闇の奈落谷へと向かうのも自由だ。 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/2118.html
キャラ名一覧>よ よで始まる作品をすべて表示(注・五十音順ではないのでやや見辛いです) 夜明エイム ようこ ようこ(背景なし) 妖獣のアリエッタ 幼女キノ 妖精さん 余賀公麿 横尾摩耶01 横尾摩耶02 横田美希子 ヨコハマタイヤ(キャラ) 吉岡ハル 吉岡ゆき(アニメ版) 吉川ちなつ 吉川ともこ 吉田一美 吉田政二(原作版)02 吉田政二01 吉田政二(原作版)01 吉田政二02 ヨシツネ 芳槻さら 吉留未春 ヨシナオ 芳乃 吉野杏里 芳野ハスミ 吉野家先生 吉宗 四葉 四葉ありす No.30-四葉五月(アニメ版) No.30-四葉五月 夜ノ森小紅 夜ノ森紅緒(メガネ) 夜ノ森紅緒 ヨハネ・クラウザーII世02 ヨハネ・クラウザーII世01 ヨハン・アンデルセン ヨハン・トリニティ02 ヨハン・トリニティ01 詠 黄泉&神楽 黄泉川愛穂 読子・リードマン ヨモツイクサ 依藤澄子 弱音ハク ヨーコ・ヴェルナンデス ヨーコ・リットナー01 ヨーコ・リットナー02
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2448.html
【種別】 組織 【初出】 アニメ版『とある科学の超電磁砲』12話 原作での言及は二十二巻 【解説】 警備員内に常設されている一部署、『先進状況救助隊』。 テレスティーナ=木原=ライフラインを隊長とし、災害時における救助を目的として出動する。 装備としては、駆動鎧(HsPS-15)が隊員に支給されたりと充実。 立派な目的を掲げている組織だが、テレスティーナの裏の顔を考えると、 非合法な行動を組織的に行っていた可能性もある。 本部には大型・完成型のキャパシティダウンが設置されており、 能力者による襲撃対策も万全に整えられている。 また、警備員の正規隊員である黄泉川愛穂は、 乱雑解放事件の際に「この組織は(テレスティーナも含めて)胡散臭いと感じていた」と発言している。
https://w.atwiki.jp/indexsaikyou/pages/153.html
ヤヤ(除外キャラ) ユユ(除外キャラ) ヨヨ(除外キャラ) ヤ 薬丸医月(やくまるいつき) 薬味久子(やくみひさこ) 闇咲逢魔(やみさきおうま) ヤ(除外キャラ) 八城(やしろ) 野洲(やす) 柳迫碧美(やなぎさこあおみ) 山川(やまかわ) 山科(やましな) 山手(やまて) 山根(やまね) ユ 悠里千夜(ゆうりせんや) 杠林檎(ゆずりはりんご) 弓箭入鹿(ゆみやいるか) 弓箭猟虎(ゆみやらっこ) 赤き洪水の少女(ユミルズオーシャンのしょうじょ) ユ(除外キャラ) ヨ 横須賀(よこすか) 誉望万化(よぼうばんか) 黄泉川愛穂(よみかわあいほ) ヨルムンガンド ヨ(除外キャラ) 横須賀抄絢(よこすかさあや) 芳川桔梗(よしかわききょう) 四葉(よつば)
https://w.atwiki.jp/raicho081/pages/93.html
学生 王立軽書学園 東 佐天涙子:御坂美琴:白井黒子:初春飾利 ヴィクトリカ・ド・ブロワ:凸守早苗 黄泉川愛穂 西 北 海 黄金の鹿号 船長:フランシス・ドレイク 部下:坂本美緒 該当所属無し ルシウス・モデストゥス 井之頭五郎 ???(The M) 佐々木小次郎 構成員斑鳩へ変異 貝木泥舟 ラオウ Ms.スート デゼレサ 機械・アイテム・乗り物 演出機 頑丈なナイフ モンスター せいはいくん(柳洞寺に出現した奴・撃破済み) ワイトキング(ダンジョン100階に出現したレアモンスター・撃破済み) レ級(海で遭遇) オルトロス(たこ焼き屋で買った後リリース) アッガイ(改造してリリース) ダーク・ネクロフィア(過去に討伐済み) 所属不明者(一時的配置) 美国織莉子 ワルプルギス(南地区四大組織)所属と判明 インキュベーター 所属は魔王?
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1003.html
「それでー、これが皆で撮ったプリクラ」 「うわー……近すぎじゃないですか?」 風紀委員一七七支部、そこで佐天は椅子の背もたれを抱えながら初春に携帯の画像を見せる。 画像とは、美琴、当麻、一方通行、佐天でダブルデートをした日に撮ったあのプリクラだ。そ の時は三種類をデータとしてQRコードで携帯に送ったのだが、今初春に見せているのは一方通 行渾身の出来のあの一枚だ。 「そっかなー? 御坂さんと上条さんも同じ感じじゃん?」 「でも御坂さんたちはお付き合いしてるんですよね?」 「え? まだしてないよ? 多分」 否定はしきれない。四人で遊んだ時はそんな風では無かったけど、あの後二人でどこかに行 った様だからもしかすると付き合い始めたのかもしれないし、相変わらずあの微妙な距離感な のかも知れない。 「それでもあの二人はもとから仲良かったじゃないですか。佐天さんはこの日に初めてこの男 の人に会ったんですよね? そう考えるとやっぱり近すぎますよー」 「いやぁー、この時はもう結構仲良くなれてたしさ。上条夫妻の雰囲気にも飲まれちゃったと 言うか」 「んーー」 初春が可愛らしく人差し指を唇にあて、ディスプレイを凝視している。頭の花は今日も元気 に咲いていた。悪戯で毟ってやろうかと佐天は手を伸ばしたが、途中で初春に気付かれて手を 払い落された。スカートは捲り放題な女の子のくせに頭の方はガードが堅い。女の子としてそ こはせめて逆なんじゃないかと言いたいが、言った後に初春のスカートガードが堅くなったら 佐天としては面白くないので黙っておく事にした。 「なに唸ってんの?」 椅子を立って、今度は背もたれでなく初春を抱きかかえるようにして後ろに立つ。頬をプニ プニと突いても初春は怒らないし、指でつまんで横に伸ばしても「ひゃめてくらはいよ」と言 うだけで抵抗はしない。頬をいじった流れのまま手を頭、というか花に持って行く。 やっぱり払い落とされた。 「これ、一方通行さん? に佐天さんの胸当たってませんか?」 「ふぇ?」 「かるーくですけど、ほらこの肘のとこが」 初春から携帯を奪い取る。今まで気付かなかったが確かに当たってるような当たってないよ うな微妙なラインだ。だが、見れば見る程怪しい。 「いやっ、でもこの時一方通行さんは何も言わなかったしっ」 「密かに佐天さんのおっぱいを楽しんでたかもですよ?」 「一方通行さんを変な風にゆーなっ!」 パチンと軽く初春の花……ではなく鼻にデコピンする。正確に鼻の頭を撃ち抜かれた初春は 両手で鼻を押さえて涙目で「うぅ~~、冗談じゃないですか~」と唸っていた。 佐天はディスプレイを待ち受け画面まで戻すと、携帯を閉じた。胸が当たっているか当たっ てないか。そんな事は一刻も早く忘れたいのだが、そう思えば思うほど思考はあの時当たって いたのか当たってなかったのかで埋め尽くされる。 画像を見る限りはグレーゾーンだがあの時は当たってたなんて全く思わなかった訳だから実 際当たってないとは思うが、でも今考えるとかすかに一方通行の肘が当たっていたような気も する。しかしもし当たっていたんなら一方通行の性格だったら「おィ、胸当たってンぞ」ぐら いは言ってきそうなものだし、でももしかしたら一方通行はむっつりスケベで当たってるのも 承知で黙ったたのかも知れないし、でももしあの時当てったいたとしたら当てに行ったのは一 方通行の肘を掴みに行った自分な自分な訳だからそう考えると一方通行は全然悪くない気がす るしでもでもそれならそれなら…… 佐天が思考の沼にはまって行く中、初春はデコピンの痛みから抜け出したのか支部に備え付 けてある電気ポットの前で二人分のお茶っ葉を急須に入れていた。 「佐天さん緑茶でいいですよね?」 「あぇ!?」 初春によって思考の泥沼から引っ張りだされた佐天が素っ頓狂な声をあげる。初春は「は?」 と急須から目を離し、意味がわからないと言いたげな顔で振り返った。その時、甲高い電子音 と共に風紀委員支部の入り口が開かれる。二人がそろって入口を見ると、そこにはどうしよう もなく暗い顔をした白井黒子が立っていた。 「今、白井さんの分のお茶も入れますね」 「白井さんおはよーございます」 二人を無視して黒子は自分の席まで行くと、力なくドカッと椅子に身を沈めた。目はうつろ で、口から魂が抜けてしまっている。 「ど、どうしたんですか?」 「お姉様の……お姉様の様子がおかしいんですの」 ギリっと歯を食いしばりながら苦虫を噛んだような表情で黒子は答えた。 「進化したんですか? ライチュウですか?」 「初春黙って」 ボケを軽くスルーされた初春はふてくされたように頬を膨らました。それでも手は止めずに 三人前のお茶を手際良く用意している。沸騰したお湯を急須の中に入れて軽く回す。緑茶の匂 いが鼻腔をくすぐる。出来あがった緑茶をコポコポと湯呑みに入れて佐天と黒子の前に置くと 次は自分の分の湯呑みに緑茶を注いだ。 そのお茶を黒子はズズッと啜り一息つく。そしてゆっくりと口を開いた。 「最初にお姉様が少し変だと気付いたのは一週間ぐらい前の事でしたわ」 一週間前と言えばちょうどダブルデートをした日だ。そんな事を考えながら佐天は初春の入 れたお茶を啜るが、佐天にはまだ少し熱かったようだ。舌を軽く火傷したのか少しヒリヒリと した感覚が残る。 「珍しくお姉様が門限通りに帰ってきましたの。それで私と一緒に寮の夕飯を食べていたんで すけど、ずっと携帯の画面を見てはにやけ……画面を見てはにやけ、私の甘いピロー……いえ、 ディナートークは完全にスルーされ続けましたわ」 「それいつも通りじゃ」 「初春黙って」 「そうですの。これぐらいだったらいつも通りですの。でも、一度お姉様の着信音が鳴ったと 思ったら、お姉様は『ヒョウッ!!』と言って動かなくなってしまったんですの」 「白井さんが御坂さんの新ギャグに笑ってあげなかったからですよ」 「初春黙って」 「随分と長い間固まってたのでどうしたのかなー、何か変だなーと思って失礼と知りながら私、 お姉様のケータイのディスプレイを覗いたんですの」 「なんでいきなり淳二さんなんですか?」 「初春黙って」 「えっ、今のもダメですか?」 「するとそこには……」 黒子の身体がガタガタと震えだす。どんな恐ろしいものが映っていたのだろうかと佐天は息 をのんだ。初春は、お茶のお代わりを注ぎに行った。 「あろうことかお姉様とあのクソ忌まわしき類人猿のツーショットが映っていたんですの!! それも肩がくっ付きそうなほど寄り添って仲睦まじく歩く姿でですわ!! 怖いなー、バック の夕焼けが美しいなー、綺麗な画だなーってマジふざけんじゃないですわ!!!!」 口から火を噴きそうな勢いで黒子は椅子から立ち上がって吠えた。ガルルルルと野生の獣の そうな殺気を纏っている。湯呑みに残っていた緑茶を飲み干し、初春にお代わりを要求する。 すぐに出来あがったアツアツの緑茶も一気飲みして、そして熱すぎて佐天に吹いた。 「あっついですわ!! もぅイロイロあっついですわ!!!!」 「熱いの私ですよっ!」 佐天が黒子の吹いたアツアツの緑茶が掛かった顔を押さえながらのた打ち回る。初春が急い で持ってきたフキンも、なぜかアツアツだった。 「アッツ!! ちょっと初春!? なんでフキン熱いの!?」 「そっちの方が面白いかなって思いまして」 「面白くなーいっ!!」 学園都市の治安を守るはずの風紀委員の支部でドタバタ劇が繰り広げられる。佐天は初春に 馬乗りになり、片手で往復ビンタをしながらもう片方の手ではスカートをバッサバッサとめく る。パンツどころか臍辺りまで露わにされている初春は「佐天さんやめて――!」と悲鳴を上 げるだけだ。 「それからと言うものお姉様は事あるごとにクソ類人猿を探しに学園都市中を徘徊するように なってしまわれたんですの! 上手くクソ人猿に会えた日は夜中まで私相手にノロケ話披露す るんですの! 私散々お姉様が好きって言ってるのに生き地獄ですわ! 上手くクソ猿と会えな かった日は私が慰めるんですのよ!? シュンとしてるお姉様可愛いなーとも思いますけれどや っぱり納得いかないんですの!! あのクソ! お姉様を悲しませるんじゃないですの!!」 ギャーギャーと思うままに騒いでいると、支部の入口の電子ロックが解除されゆっくりとド アが開き始める。今この瞬間まで騒いでいた三人が一気に静かになりドアの先を見つめる。固 法先輩にでもこの状況を見られたら確実に怒られる。部外者の佐天も含めて。そもそも部外者 を普通に入れている黒子と初春はさらに怒られるだろう。 ドアが開き切ると、そこにはこの騒ぎの間接的な主役が立っていた。 「みんな、おはよー。ごめんね初春。また勝手にロック解除しちゃった」 いつものノリで美琴が挨拶する。しかし誰も返事は返さなかった。代わりに三人の目線が美 琴に突き刺さる。 「なに、どうしたの? すごい静かだけど……」 「広い意味で全部御坂さんのせいです」 「へ? なんで?」 美琴が支部内を見渡す。何か液体で濡れた床、スカートを顔の位置までめくられさらに頭の 上で絞るように紐で縛られまるで逆テルテル坊主の様になり、パンツと臍が丸見えのまま悶え ている恐らく初春。その上で横腹を親の敵のようにくすぐる佐天。黒子はゼェゼェ息を切らし ていた。 「お姉様! 昔のお姉様に戻ってくださいまし!」 突然の黒子の大声に美琴は体をビクつかせた。黒子の足元では初春っぽいものが黒子から離 れる様にゴロンと一回転する。そのせいで初春にマウントポジションをとっていた佐天は転が り落ちた。 「朝の挨拶かと思えば当麻! 昼の挨拶かと思えば当麻! 夜の挨拶かと思えば当麻! 私もう耐 えられませんの!!」 「ちょっ、黒子やめ……」 黒子が美琴の両肩をがっしり掴んで揺さぶる。おかげで美琴の頭は振り子のようにグワング ワンと揺れていた。 「最近では胸のサイズを気にするようになったのか怪しげなバスト増量通販グッズを買い漁っ たり、バストの増量マッサージがのったファッション雑誌のみを買い漁ってお風呂で実践して みたり! そんな必死なお姉様も萌え萌えですがそれが毎日とあっては流石にキツ……」 アイアンクローの要領で美琴が黒子の頭を掴む。口元はヒクヒクと微妙に動き、いびつな笑 みを浮かべている。 「なぁ~んでアンタは風呂の中の事まで知ってるのかしらねぇ~~」 「そ、それはもちろんお姉様にいつ何時危険が襲うか分からないのでドアの隙間から覗いてる からですの」 「そぉ~、それはアリガトねぇ~。でも危険は迫って来ないから大丈夫よ、だから一生私のお 風呂覗くんじゃないわよ?」 ギリギリと渾身の力を込めた美琴の指が黒子の側頭にめり込んでいく。黒子が両手で美琴の 腕を引き離そうとするが指に瞬間接着剤でも付けていたのか全くビクともしない。かすれる様 な声で美琴に手を離すように言ってみるが…… 「やめ……お姉……指……食いこ………」 言葉にならない。 「そういえば、佐天さん」 「はい!?」 目の前の圧倒的光景に茫然としていた佐天の声が思いがけず裏返る。美琴は佐天の方に目を 向けるが決して黒子の頭からは手を離さない。美琴の腕を掴んでいた黒子の手が、重力に従う ように力なく垂れる。 「この前はアリガトね?」 「い、いえ私の方こそ無茶言ってすみませんでした」 一応受け答えはするが、黒子が気になってしょうがない。気のせいでなければ黒子は泡を吹 いている。 「後、写真……送ってきてくれて……」 可愛らしく頬を薄ピンク色に染めながら手を握って口元に持っていき、恥ずかしそうに佐天 から目線を反らす。もう片方の手は相変わらず黒子を締め上げているのがなんともシュールだ。 「いえ、アレは私が勝手にやった事ですし……凄く綺麗だったんで思わず撮っちゃいました」 「やだっ! 綺麗とか! って夕焼けがよね!! 今思いっ切り感違いしちゃったわ!」 「御坂さんと上条さんも含めてですよ」 「~~~~~~っ」 言っといて何だが、照れ隠しに黒子を振り回すのはどうかと思う。黒子の身体はまるで旗の 様に右へ左へはためいていた。 「佐天さん、あれから一方通行と連絡取ったりしてる?」 美琴が落ち着いた所でようやくアイアンクローから解放された黒子は、土下座をするような 形で両側頭を押さえていた。よく見ると美琴が掴んでいた部分にはくっきりと指の跡が見てと れる。 「いやー、全然ですねぇ」 ダブルデートの日から一週間、一方通行とは会ってもないし連絡も取っていない。別れ際に メールをするとは言ったものの誘う口実も見当たらずダラダラと時間は過ぎて行ったのだ。一 方通行から連絡が来るかもと淡い期待も多少持っていたが、それもない。 「あんのバカは……よくもまぁ佐天さんを放っておけるわね。まーでも一方通行に佐天さんは 勿体無いけど」 「そ、そんな事ないですよっ。一方通行さん優しいし気が利くし……ちょっとカッコ良かった し……むしろ私には勿体無い感じですよ」 優しくて気が利いてカッコいい? 普段無駄話ぐらいしかしない美琴にはよく理解できない単 語が並ぶ。優しくて気が利いてカッコいいのは当麻だろうと言いそうになったがギリギリ踏み とどまる。そんな事言ってしまった日には黒子が全力でウザくなるだろう。今でさえ若干ウザ いのに。それに佐天に自分が当麻を好きな事がばれるかも知れない。たとえばれても佐天なら 応援してくれるだろうが、やっぱりどこか恥ずかしさが残る。声に出してソレを言ってしまっ たら当麻の顔も見れなくなってしまいそうだ。 「でもその一方通行さん。私はプリクラでしか見てないですけど寂しがり屋っぽい顔してませ んか? 目も赤いし、多分ウサギさんですよ。今頃佐天さんに会えなくて泣いてますよ」 初春が緑茶を湯呑みに入れながら言った。今度は美琴が増えたので四人分だ。 「初春マジバカ春」 「あははっ、でも確かにそうかもねー。知り合った最初の方は良く暇だからってメールしてき てたし。まぁ打ち止めとか同居人が出来てからはそれも無くなったけど」 初春が四人分の湯呑みをトレイに載せて危なっかしい足取りで運ぶ。その途中、いまだ土下 座でこめかみを押さえている黒子の頭の上に「熱いので気を付けてくださいね」と湯呑みを置 いた。 「え? 初春? これじゃ私動けませんのよ?」 「佐天さん、御坂さんどうぞー」 黒子は無視して二人にも緑茶を渡し、空いている席に腰を掛ける。ちょうど佐天と美琴の間 に座るような位置関係だ。 「御坂さんって前から一方通行さんと仲良しだったんですか?」 美琴と一方通行が昔頻繁にメールをしていたと聞き、佐天は少し興味がわいた。あの日の二 人を見る限りでは美琴が当麻に付きっ切りだったというのもあるが、二人の関係がよく分から なかったからだ。普通に話してたし仲が悪いという訳ではないだろう。そもそも仲が悪いので あればあの日のデート要員にすらならないはずだ。 「んー。別に仲良しって訳でもないわよ。ただの……まぁ会ったら話す程度の友達ね」 歯切れ悪く美琴が答える。もう少し突っ込んで聞きたい気もするがこれ以上のことは望めな いだろう。 「そうなんですか」と佐天が返した後、天使が……いや、佐天が通った様に会話がなんとな く止まった。妙な沈黙に耐えられなくなったのか、初春が「ル・ミュヒョロペーゼ・アウアウ !」と摩訶不思議な呪文を唱えるが誰も反応しない。ビックリするほど滑った初春は熟れたト マトの様に真っ赤になった顔を両手で覆い隠し俯いた。 「そう言えば上条さんとのデートはどうだったんですか?」 佐天が話題を変えてみる。こういう時は何か話すきっかけを作ればいいだけなのだ。 「デェェェエェェトォオォォォォォォオ!?」 黒子が過剰に反応するが頭の上に熱いお茶が乗っているので顔をあげる事は出来ない。テレ ポートでどければいいだけの話なのだが、自分の把握し切れていなかった美琴の行動に混乱し てそこまで頭が回らないようだ。 「で、デートじゃないわよっ! ただ二人で遊んだだけよ」 「世間じゃそう言うのはデートって言うんですよ」 初春の突っ込みにジトッと睨みつける。 「私、何かおかしな事言いましたかね?」 「御坂さん、何でもかんでも噛みついちゃダメですよー」 ネコか何かをなだめる様に佐天が美琴の頭をポンポンと叩く。まったくそんな事をされては 年上の面子が丸つぶれだと美琴は大人しくなった。 「あの服着て行きました?」 「どこ行ったんですか?」 大人しくなった事を見計らうように二人は美琴を質問攻めする。お年頃なだけあってやっぱ り気になるのだ。佐天もデートはしてみたがアレはダブルデートだったし、二人でのデートと は少し違うものがあると思う。それに本人から直接は聞いてないが、美琴が当麻を好きなのは 見てとれる。というか分かりやす過ぎる。好きな人と一日二人っきりになるのはどんな気分な のか、ぜひとも聞いてみたい。 「あの服は着て行ったわよ。アイツが見たいってゆーから……」 フムフムと何が分かったのかはよくわからないが佐天と初春がうなずく。少しずつ美琴の声 が小さくなるもんだから聞き逃さないように二人の顔が美琴の顔に近づいて行く。ソレを避け るように美琴は俯いてしまったため、二人の顔がニヤけている事に気付かない。 「それで待ち合わせした後はふつーに……、えっと……ボーリング行ってお昼ご飯食べて…… で、その後どーしよっかってなって……」 さらに大きく佐天と初春はうなずく。顔はもうとろける様程にニヤケ切っている。初春が小 声で「ホテル? ホテルなんですか?」と囁くのを佐天が頭を後ろから叩く。幸い美琴は照れ を隠すので精いっぱいで聞こえていないようだ。照れは隠せていないのだが。 「カラオケ……行きました……。それでおしまい」 ムハーーと二人が息を吐く。その瞬間後ろから叫び声が聞こえた。 「カラオケェェエェェェェエエェ!!」 言うまでもなく黒子だ。床と強制キス状態のため声は籠っているがそれでもハッキリと聞こ える。 「ダメですわお姉様! 若い殿方と密閉された個室に二人きりなんて!! そんなもんもうラブ ホとイコールですのよ!! ああっ!! これでもうあのクソバカ類人猿の汚い棒によってお姉 様の神聖なる処女ま……」 コンクリート片を地上十メートルから叩き落としたかのような轟音が支部内に響く。黒子の 頭に乗っていた湯呑みは復元など到底不可能なほどに粉々に粉砕され、床のタイルも黒子の頭 を中心に波紋のようにひび割れて、ところどころコンクリートが見え隠れしている。 美琴が黒子の頭を撃ち抜いた足を上げ、「帰るっ!」とだけ言い残し顔を真っ赤にしたまま 振り返る事なくドアから出て行った。 「大丈夫ですよー! 初春と私はそんな事考えてませんよー!」 「そうですよ! どうせやるなら家かホテルが良いですもんね!」 二人が必死でフォローするが聞こえているのかもわからない。足元では「お姉様が……私の お姉様が……神聖なるお姉様が……」とぶっ飛んだ妄想癖の持ち主が自らの妄想によって泣い ていた。 「白井さん、危ないんで動かないでくださいね」 泣いている黒子の頭に乗っている湯呑みの破片を佐天が丁寧に取り除いていく。初春もロッ カーから箒とチリトリを取り出して黒子を中心に散乱した破片を掃き始めた。 「痛いとことかありませんか? かなり強く踏みつけられてましたけど」 「……心」 「大丈夫そうですね」 「あっ、足もとはまだ破片あるんで気を付けてください」 佐天は黒子の頭から湯のみの破片を全て取り除くと、黒子を後ろからはがい締めにするよう にして立ち上がらせ、スカートに着いた埃や手では取りにくい細かい破片を払った。黒子の顔 があった部分にはくっきりと黒子の顔が転写されている。風紀委員一七七支部の床に浮かび上 がった黒子の顔。それは鬼の形相で間違って踏んでしまおうものなら容赦なく呪われそうな雰 囲気を醸し出している。 今度から支部に来る時は踏まない様に注意しよう、と佐天は一人心に誓った。 「白井さん、これどうしたらいいんでしょう? このままだと絶対に個法先輩に怒られますよ ね?」 初春が箒の柄でひび割れた床をコンコンと叩く。割れた湯呑みは黒子の私物なため、割ろう が無くそうが爆発させようが買い直せばいいだけの話なので無かった事には出来る。しかし、 この床だけはどうしようもない。自分たちではどうする事も出来ないし、業者に頼むにしても 基本的に支部は部外者立ち入り禁止のため色々な書類を書かないといけない。その書類は個法 先輩の許可がないと作成できない。 「……模様替えですの」 「模様替え?」 初春が首をかしげる。模様替えをした所で何になると言うのか、ヒビが直る訳でもないだろ う。 「机を移動させてこれを隠すんですの。それ以外に怒られない道はありませんわ」 「あっ、なるほどー」 納得したように初春はパンッと柏手を打った。確かにそれなら気付かれる事は無いかもしれ ない。早速キャスター付きの椅子をどかして机を運ぶ準備にかかる。 「よくそんな悪知恵が働きますね」 少し呆れながらも佐天は初春の持っている机に手を掛けて手伝い始めた。机の上の荷物を下 ろさずに運ぼうとするものだから結構重い。ガリガリと引きずってなんとか机を運ぶとひび割 れの半分が隠れる。「次はこっちですの」という黒子の指示で二つ目の机も同じようにして運 ぶと、綺麗にひび割れを隠す事が出来た。 それにしてもなんで黒子の顔には傷一つないんだろう。残りの机も不自然にならない様に並 べながら佐天は思った。床にくっきり顔の跡が出来るほどの強さで頭を踏みつけられたにも関 わらず黒子の顔は美しい。きめ細やかな肌には擦り傷一つ付いてないし、赤くすらなっていな い。動機はアレだが、俯いて元気のない憂い顔の黒子はなかなかクルものがあった。 「佐天さんどうしたんですか? なんかボーっとしてますけど」 「ん? いや、なんでもない」 黒子にときめいてました。なんて言えるわけがない。佐天は適当にごまかすも、それが初春 の何かに触れたようだった。いきなり初春のテンションが上がる。 「もしかして一方通行さんのこと考えてたりですか!?」 「へ!?」 「考えてたりだったんですね!!」 佐天は何も言ってないのに疑問は確信になったようだ。さっき恥ずかしめを受けたお返しと ばかりに一気に攻め立てる。 「御坂さんの話聞いて燃え上がっちゃったんですね!」 「いやいや、私そんな事一言も言ってないよ?」 「連絡しましょう! さっそく一方通行さんに連絡取っちゃいましょう!」 「今日の初春うざい!!」 最初に運んだ机では黒子が机を運ぶのを手伝いもせずに藁と紐を取り出して何かを作ってい た。傍らには釘とトンカチが置いてある。 一方通行さんは! だーかーら! セロリ!! 初春マジうぜェ!! ギャーギャー騒ぎなが らも佐天と初春は手は休ませずに机を運ぶ。そして最後の机を運びきった所で突如として支部 に警報音が鳴り響いた。佐天と初春は言い合いをやめ、黒子も壁に向かって藁人形に釘を打ち つけるのをやめる。 支部に鳴り響く警報音。これは学園都市内で事件が発生した事を意味する。 「初春、ナビよろしくですの!! 私は現場に向かいますわ!」 「わかりました!」 イヤホンとマイクを付けながら黒子が指示を出す。その顔はさっきまでのものとは違い完全 に仕事の顔だ。それは初春も同じで、すでに移動させたばかりの机に座りパソコンと向き合っ ていた。手は高速でキーボードをタイプし、ディスプレイには次々と文字や写真が一面に詰ま ったウィンドウが開かれる。 「えっ? へ?」 二人のあまりの切り換えの速さに佐天は付いて行けず交互に二人を見ることしかできないで いた。 「佐天さんごきげんようですの」 それだけ言い残し黒子はテレポートで一気に建物の入り口まで飛んだ。初春の見るディスプ レイには街の地図が表示され、その上には赤い丸と黄色い三角形が映っている。赤い丸が事件 現場で、黄色い三角形が黒子の現在位置だ。黒子が付けて出たイヤホンとマイクには小型のGP Sが付いており、それで黒子の現在位置を把握できるようになっているらしい。 地図を確認しながら初春は黒子に道順を示す。パソコンのスピーカーからは黒子の声で「了 解ですの」と返って来た。黄色い三角形が赤い丸へと動き出す。その動く速度から見てテレポ ートは使わずに走っているのだろう。テレポートを使った方が早く現場に付けるのは百も承知 だが、ソレをすると電波が飛び飛びになり初春が発する正確な情報が得られないためだ。正確 な情報は現場で最大の武器と成り得る。その事を知っている黒子は初春からの情報が届くまで はテレポートは使わずに移動するようにしているのだ。 「今回は能力者同士のケンカみたいですね。データバンクによるとLEVEL3の発火能力者と念動 力者みたいです」 『まったく……人騒がせな連中ですわね』 「ちょっとレベルが高いですけど白井さんなら大丈夫だと思うんでさっさと捕縛しちゃってく ださい。今のところ怪我人の報告はありませんが人通りの多い道ですので周りには十分気を付 けてくださいね」 『わかりまし……あ゛あ゛っ!!』 スピーカーから大音量で黒子の声が響き、思わず佐天と初春は耳を塞ぐ。 「初春! 十秒……いえ、五秒だけ時間を頂きますわ!!」 「へ? なにかあったんですか?」 初春の問いかけに黒子は答えない。代わりに佐天が口を開いた。 「ねー初春。コレ白井さん道ずれてない?」 佐天がパソコンのディスプレイを指差す。初春が見ると、確かに黒子の現在位置を表す黄色 い三角形は目標地点である赤い丸の二本前の角を曲がって移動していた。三角形が飛び飛びで 表示される事から今はテレポートを使って移動しているのだろう。 「白井さん!?」 『死にさらせぇぇぇえぇぇぇえぇえぇ!!』 スピーカーからはドスの利いた低い怒号と人が吹き飛んで何か金属をまき散らしたかのよう な乱雑音が聞こえてくる。音声だけのため佐天と初春には何が起きたか解らない。解るのは黒 子が何かしたという事だけだ。 『目標の駆逐完了ですわ。今からケンカの方止めてきますの』 「何したんですか!? 白井さん今風紀委員の腕称してるんですよ!? あんまり目立つような 事は!!」 ディスプレイの三角形が一瞬消えたかと思うと、今度は丸に重なるようにして表示された。 スピーカーから『ジャッジメントですの!』と黒子の声が聞こえるのでどうやら現場には到着 したらしい。 「あーもー、白井さん大丈夫でしょうか」 「大丈夫じゃない? ほらっ男の人の悲鳴聞こえるし」 支部にガチャガチャと騒がしい戦闘音が広がる。かなり激しそうだが黒子が劣勢ではないの はよくわかる。男の悲鳴は聞こえど、黒子の悲鳴は全く聞こえず、むしろ怒りを撒き散らすか のような罵声しか聞こえない。 「そっちじゃないですよー。その前のやつです……一般人に危害加えてたりしてなきゃいいん ですけど」 初春がはぁ、と机に肘を立て悩ましげに溜め息をついた。能力者同士の喧嘩の鎮圧に行った のにココまで心配されないのは黒子の実力を信用しているからか、どうでもいいのか。是非前 者であって欲しいと佐天は思った。 黒子が現場に到着してから一分。すでに事件を鎮静化出来たのだろう。さっきまでの戦闘音 は聞こえなくなり、代わりに黒子と誰かの話声が聞こえる。おそらく警備員への引き継ぎを行 っているのだろう。 「はっや……」 「白井さんが行くといつもこんなもんですよ。圧倒的力で対象をねじ伏せますから」 これにて一件落着、というように初春が伸びをする。パソコンのディスプレイからは赤い丸 がいつの間にか消えていた。 「そう言えば、佐天さんそろそろ帰った方がいいですよ。事件がありましたしそろそろ個法先 輩がココにくるかもなんで」 「そうだね。怒られんのは嫌だしそろそろお暇させて……」 電子音が鳴り、支部のドアのロックが外される。噂をすればなんとやら。開いたドアの向こ うには巨乳でメガネなお姉さんが立っていた。 * * * 「うん! 炊飯器使ってない割には中々美味いじゃん!」 「あのなァ黄泉川、普通パン焼くのに炊飯器なンて使わねェンだよ」 「このサラダに掛かってるドレッシング結構好きかもってミサカはミサカはドバッとドレッシ ングを追加してみる!」 「バカかてめェは。そンな事したら味きつすぎて食えたもンじゃねェぞ」 午前七時。打ち止めと黄泉川がテーブルを囲み朝食を取って、一方通行は台所で昨日の夕飯 で使った食器と今朝の調理で使った器具を洗っている。朝食はトーストに半熟の目玉焼き、そ れとキャベツを適当にちぎって盛り付け、そこにキュウリとトマトを乗せた簡単なサラダだ。 黄泉川家では主婦業は一日交代のローテーションが敷かれており一昨日は黄泉川、昨日は芳川 だったため今日は一方通行の日なのだ。打ち止めはこのローテーションに入っていないが毎日 皆の手伝いをしてなんとなく絡んでいる。 「やベェ、眠ィ……」 「まだ起きたばっかりなのにだらしないよってミサカはミサカは注意してみたり」 「うっせェな……こちらと芳川に合わせて朝の四時から起きてンだよ。つーか朝四時ってなン なンだよ、ほぼ夜じゃねェか」 「一回寝ればよかったじゃん?」 「ンな事して起きれなかったらお前仕事に遅れンだろうが。今日起こすの俺の担当なンだから よォ」 今ココにいない芳川は実験の都合とか何とかで朝五時には家を出なければならず、今日の主 婦当番の一方通行はそれに合わせて朝食を作らなければいけなかったため、朝四時から起きっ ぱなしなのだ。 「つーか腹減ってきたな。もっかい朝飯食ってやろうか」 朝食は芳川と一緒に取ったため、朝七時の時点ですでに三時間ほど経過している。育ち盛り の男子としては小腹が空き始める頃だ。 「眠かったりお腹減ってたり忙しいねってミサカはミサカは家庭的一方通行の身体を心配して みたり」 「打ち止め、次家庭的と言ったら昼メシ抜いちまうぞ?」 「ごちそうさまじゃん!」 黄泉川は食器をまとめて流し台に置き、ドタバタと洗面所に向かった。適当に櫛で髪を梳か してからいつものように後ろで一つにまとめる。年頃の女性とは思えないほどの工程の少なさ で身支度を整えていく。 今、黄泉川が置いた分の食器も洗い終え、流し台の周りに飛び散った水をフキンで綺麗に拭 き取った後、一方通行はパッパッと手の水気を弾きタオルで拭きながら、この後は洗濯機を回 して掃除をして……と頭の中で予定を組み立てる。芳川と黄泉川が食事以外のこの二つを意地 でもしないため、一方通行のローテーションの時にやらなければ永遠に終わらないのだ。 ちなみに先ほど一方通行が洗っていた昨日の分の食器も、本来なら芳川がしなければならな いのだが、昨晩は夕食後に芳川が死んだように眠りに着いたため仕方なく一方通行が行ってい た。二人は働いているのだから仕方ないと割り切ってはいるが、それでも結構不公平なのでは ないかと一方通行は思う。 「ごちそうさまでしたー!ってミサカはミサカは食器をガチャガチャ言わせながらあなたに渡 してみる」 「……洗いもン終わった瞬間に持ってきやがって……」 打ち止めから食器を受け取り再度洗い物を始める。昼食まで残していてもいいのだが、洗い 物はすぐ洗うと言うルールが一方通行の中に出来ているためそうもいかない。 「打ち止めー打ち止めー」 黄泉川が歯ブラシを咥え、口の周りに白い泡を付けたまま打ち止めを呼ぶ。郵便受けを覗い てきたのか左手には封筒が握られていた。 「なにー? ってミサカはミサカは駆け寄ってみたり」 「問題じゃん。これって何でしょーか?」 左手の封筒を親指と人差し指で挟んでヒラヒラと宙を泳がす。その顔には軽く笑みを浮かべ ていた。 「封筒?」 「そのまんまじゃん」 「お前なァにゆったりしてやがるンですかァ? 人に朝から起こさせといて遅刻しましたとか になるンじゃねェぞ?」 打ち止めがピョンピョンと飛び跳ね封筒を渡すように催促する。「そこまでバカじゃ無い じゃん」と黄泉川は歯ブラシをシャコシャコと上下に動かしながら封筒を打ち止めに渡した。 打ち止めが受け取った封筒の宛名は『打ち止め様』となっている。送り主はどうやらどこか の企業名が書かれているようだ。 「ミサカ宛て!? って事はまさかまさかのまさかかも! ってミサカはミサカは幸せ指数をほ んのちょっとだけ上げてみたり!」 ビリビリと手で打ち止めが封を切る。ソレを見てもっと綺麗に封切れよと腹の中では突っ込 みを入れるが、謎のハイテンションでウキウキしている打ち止めの水を差すのも悪い。一方通 行は取りかけた鋏をそっと元の場所に戻した。 手で切ると言うか乱暴に破ったため案の定封筒は真ん中あたりまで破れてボロボロになった が、そんな事はお構いなしに打ち止めは中身を取りだした。中身は一枚のコピー用紙と二枚の 長方形型のチケットの様なものだ。打ち止めがコピー用紙はそっちのけでチケットの文字が印 刷されている側を凝視する。そして数秒間だけ固まり、両手を勢いよく真上に上げた。 「キターーーー!! ってミサカはミサカは喜びを爆発させてみる!」 「朝から一体なンなンだよ」 「今日が最後の発表だったから尚更嬉しいってミサカはミサカは封筒にちゅーしてみたり!」 「よかったじゃん! 何回も諦めずに手紙出してみるもんじゃん!」 黄泉川の発言で一方通行は「あァ……」と全てを理解した。打ち止めが今クルクル回りながら 両手で端を持って掲げているのは、一ヶ月ほど前に打ち止めが懸賞で応募した犬と猫が主役のハ ートフル映画の試写会のチケットだ。あまりに熱心に応募していたし、何度も何度もへたっぴな 説明をされたからよく覚えている。 「一緒に行こうねってミサカはミサカはお誘いしてみる!」 「もちろんじゃん! して、その試写会の日程っていつじゃん?」 チケットにはなにも書いていなかったため恐らく打ち止めが放り投げて床に落ちてたままに なっているコピー用紙に時間と場所が書かれているのだろう。一方通行が紙を拾い上げて確認 すると予想通り上映場所までの簡易な地図と日程が書かれてあった。 「今度の土曜だな」 「ハッピーサタデー! ってミサカはミサカはガッツポーズしてみたり!」 「……一方通行、もっかいお願いするじゃん」 「だから今週の土曜、明後日だっての」 確認してから、黄泉川の表情が曇る。テーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯電話を手 に取ると一つ一つの動作を確認するようにゆっくりと操作をし始めた。 「なにしてンだよ?」 一方通行が問いかけるも歯ブラシを咥えたまま片手を突き出し無言で『待って』のポーズ。 いつも打ち止めと一緒に騒がしくしている黄泉川にはあまり見られない貴重なシーンだが、あ まりいい事ではないのかもしれない。携帯電話を食い入るように覗きこんでいるため前髪が垂 れ、横顔はほとんど見れないが、なんとなく困っているようなそんな表情をしている気がする。 打ち止めも先程とは違う不穏な空気を察したのか、チケットが当たった喜びもどこかに消え去 ったかのように黙って眉をハの字にしている。 携帯電話を閉じ、「今スケジュールを確認したんだけど……」と前置きをしてから黄泉川は 打ち止めに深々と頭を下げた。後ろで一つにまとめている黒い長髪が肩を滑ってスルリと落ち る。 「その日、警備員の会議があるからいけないじゃん」 「えぇ――――!! ってミサカはミサカは途中から空気でなんとなくそんな気はしてたけど 一縷の望みを託してた分やっぱり全力で叫んでみる!」 「ホントごめんじゃん! この会議はどうしても休めないじゃん」 パンッと両手を合わせて本当に申し訳なさそうな顔をしながら再度頭を下げる。 「ミ、ミサカはどうしたらいいの!? ってミサカはミサカはアタフタしてみる!!」 「そうじゃん! 一方通行が一緒に行けばいいじゃん!?」 「ソレ! ナイスアイデア! あなたが私を連れてって! ってミサカはミサカは腕にしがみ付き ながらお願いしてみる!!」 「いや、っつーかよォ。誰が連れてくとかの前に、お前この日、カエル医者ンところの定期健 診の日だからそもそも行けねェンだわ。時間もモロ被りだしな」 「えぇ――――!?」 まさかの衝撃的事実。昼の情報番組で組まれていた特集を見てからずっと観たいと、少しで も早く観たいと思っていた。だからさまざまな番組の映画の宣伝を兼ねたプレゼントコーナー にも応募したし、お小遣いをはたいて買った中身には全く興味のない雑誌の懸賞にも応募した。 それでようやく手に入れた念願の試写会。懸賞に外れるならまだしも、手元にチケットがある のに、懸賞に当選したのにこんな形で棒に振るなんて考えられない。打ち止めは体全体を使っ て一方通行の腕をブンブンと振り回し抗議する。 「その日はお休みして! その後は休まず行くから! 絶対行くから!」 「それはダメじゃん。落ち着いてはいるけど身体の調子もまだ少し不安定だし何かあってから じゃ遅いじゃん」 「じゃあ次の日! 日曜日に行く事にすればいいよ! ってミサカはミサカは必死で提案して みる!!」 「そンなもン、カエルに迷惑掛かンだろうが。今まで散々迷惑かけてンだから止めとけ」 「~~~~~っ!」 我慢しきれず地団駄を踏む。あれだけ待ち望んだのに神様はなんて酷い仕打ちをするのだろ うか。本当なら定期健診なんてほっぽり出して映画を観に行きたい。しかし一方通行と黄泉川 の言うことだって分かる。分かるから、余計に映画に行けない事が悔しい。打ち止めの目に熱 い涙がじんわり浮かんだ。それでも涙を零さないようにとギュッと唇を噛んで小さな手を握り しめる。手の中のチケットがグシャリと潰れた。 そんな打ち止めを見て二人が何も思わないはずがない。ある日大量の手紙を買ってきたと思 ったら、それに黙々と下手な字で何かを書き始めた。どれだけ書くんだと聞くと全部と返って くる。手伝おうかと言っても自分でやりたいと二人の手を取る事は無かった。少しでも手紙が 目立つようにと手紙の枠を蛍光ペンで塗ったり、シールを貼ったりして工夫もした。それでも 抽選に落ち続け今日が最後の発表の日。そこでようやく試写会を当てたのだ。だから出来れば 行かしてやりたい。だが打ち止めの身体と映画の試写会、どっちが大切かなんて分かりきって いる。未だ不安定な打ち止めの身体がどうにか安定して欲しい。黄泉川も今この場に居ない芳 川も、一方通行だって顔には出さないが気持ちは同じだ。 どうか打ち止めが無事に成長していきますように…… 「まァ、今回は運がなかったって諦めるンだな」 「一般上映まで待てばいいじゃん?」 なんの慰めにもならないが言うしかない。とにかく定期健診には行かせなくてはいけない。 身体が不安定な分、いつ何が起きても不思議ではないのだが、月に一回でもカエル顔の医者の 言葉をもらえればそれで得れる安心もある。 「でも……お手紙とかでお小遣い使っちゃったから映画を観るお金なんて残ってないよ……っ てミサカはミサカは肩を落としてみる」 言葉にして噛みしめるのが辛い。とうとう打ち止めの目から堪えていた涙の粒が落ちる。 「……」 何も言えない黄泉川の横で、一方通行は一歩前に出た。 「金なら稼ぎゃァいいだろうが」 今回の事は、もうなにも出来ないが次に繋がる何かは出来る。一方通行は打ち止めの手の中 でグチャグチャになっているチケットを取りあげた。 「この試写会のチケットいくらなンだよ」 「え?」 状況を上手く飲み込めないのか、打ち止めは零れた涙も拭かずにキョトンとした顔をした。 そのやり取りを見て黄泉川は一方通行には見つからない様に軽く微笑んで打ち止めの両肩に後 ろから手を置いた。 「一方通行がそのチケット買ってくれるって言ってるじゃん」 「えっ? えっ?」 涙を拭いてから打ち止めは上から自分を覗き込んでいる黄泉川の顔を見る。黄泉川は打ち止 めに優しい笑みを向け「ほら、一億円とか言っちゃうじゃん」と背中を押した。 「現金は……今ねェから後で銀行でおろして渡す。オラ、いくらで売ってくれンだよ。ダフ屋 さンよォ」 「ホントに? ホントにいいのってミサカはミサカはあなたを見上げてみる」 「俺が自分の意思で買うっつってンだからいいんだよ」 「でもミサカがあなたに映画の事話した時はあんまり興味なさげだったってミサカはミサカは 一ヶ月ぐらい前ののことを思い出してみたり……」 「お前があまりにも熱心に説明するから観たくなっちまったンだよ。俺のキャラには合わねェ 映画だとは思うがな」 「そうなんだってミサカはミサカはちょっと嬉しくなってみる」 さっきの涙が嘘だったかのように、打ち止めに小さいタンポポの花のような笑顔が咲く。 「で、売ってくれンのか? くれねェのか?」 「売る! 売ります! ってミサカはミサカは宣言してみる!」 これが正しいか正しくないかと言えば、おそらく正しくは無いだろう。それでも一方通行に はこんな方法しか思いつかなかったが、これで打ち止めが笑顔になるならそれでいいと、そう 思う。 「あっ、でも……」 打ち止めが一方通行に振り返る。 「あなた一緒に映画に行く友達いるの? ってミサカはミサカは素朴な疑問をぶつけてみる」 「なンの心配してンだよ。それぐらいいるに決まってンだろ」 「そうじゃん。あの携帯のプリクラの女の子でも誘えばいいじゃん」 「女の子? ってミサカはミサカは彼から遠く離れた存在の名称を反復してみる」 「綺麗な黒髪でー……」 「ババァァあァァ!! なァあァァンでそれ知ってンですかァァァああァ!!?」 一方通行が黄泉川を黙らせようと飛びかかる。黄泉川はソレを軽く往なして一方通行のポケ ットから携帯電話を取り出して打ち止めに放り投げた。とあるマンションの一室で二人の笑顔 の花が咲き、一人の恥ずかしい物がぶちまけられる。黄泉川の出勤時刻はとうの昔に過ぎ去っ ているが、黄泉川も一方通行も、今はそれを気にする事は無い。皆で楽しく笑えていれば、そ れだけでいいのだ。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/283.html
日が傾き始めた午後の町を艶やかな長い黒髪と片手で背中に背負った学生鞄を揺らして制服姿の少女が1人歩いている。 子猫を思わせるかわいらしい顔立ちのその少女は、碧い瞳を澄み切った青空に向けたかと思うと両腕を空に突き出してめいっぱい背伸びをした。 「くっはぁ―――――! 今日一日、だっれにも絡まれずに済んだぞぉ――御坂だろ、白井だろ、吹寄に、姫神に、土御門、青髪……えーっと、他に誰かいたっけかな……?」 綺麗な指を一本ずつ折りながらそんな事を呟いていたが、突然その手で拳を握ると背中を丸めて小刻みに震え出す。 「とにかく、とにかくだ。今日の私はぜっ―――――ん然無駄な体力を使ってない訳でぇ……、これはもしかして神様が『いつも頑張りやさんの上嬢ちゃんにご褒美をあげましょうねー。恒例のお肉100円詰め放題に有り余る若さをぶつけちゃってくださーい♪』なんつー事なんだろーかぁー」 満面の笑みで握った拳を天に突き上げた――と、ところが突然今度はがっくりと肩を落とすと、 「ふっ。こんな事に幸福を感じちゃう辺り……私って不幸だ……」 いつも通りの口癖で最後を締めたのは上嬢当子である。 「いや、カミジョーさんは負けません! ここはひとつこのフラストレーションをスーパーの特売にぶつけて……」 その歳にしては妙に所帯じみた事を1人熱く語っていた上嬢は、ふと視線の端に映った何かに気を取られて黙り込んだ。 歩みはそのままで視線はずっと――放り出された杖とその傍らで歩道に蹲る白髪の人物に向けられていた。 彼女のつま先が徐々に視線と同じ方向を向き始めたその時、 「だおわっ!?」 上嬢は空き缶に足を取られてひっくり返った。 高々と足を上げて背中から倒れたお陰で盛大にスカートの中を晒してしまうが、幸いにも辺りには蹲っている人物以外に人影は無く、その人物もこちらに背中を向けていた。 「うぉ……な……で空き缶がぁ? ふ、不幸だぁ……」 そう呟いて起き上がった上嬢は、踏みつけたせいでひしゃげたた空き缶を慎重に道路の端に移動させると、今度こそはと右の拳を握り締めてからまだ蹲っている人物に声を掛けた。 「だ、大丈夫ですか?」 その言葉に帰って来たのは、痛みにしかめられた蒼白の顔と涙を溜めた真っ赤な瞳、そして―― 「余計な世話だ。さっさとどっかに……ァン?」 「!?」 蹲っていた人物――一方通行(アクセラレータ)は、突然目の前に現われた上嬢にギョッとした。 そして、一方の上嬢はと言うと、 (あ、あれ? 白髪だからてっきりお年寄りかと思ったらおと……いや女の子? あれ、え、え? それに……何か誰かに似てる気がすんだけど……はて……?) 何か心の中に盛大に引っかかった物に混乱してしまう。 そんな上嬢を前に、一方通行(アクセラレータ)は彼女と関わりたくない思いから慌てて立ち去ろうと全身に力を込めた。 ところが、 「うつっ……」 腹部に走る鈍痛に顔をしかめるとまた蹲ってしまった。 そんな一方通行(アクセラレータ)の姿に我に返った上嬢は、路上に膝をつくと背中にそっと手を当ててさすりながら、 「だ、大丈夫か? ど、何処が痛い?」 「…………」 そう言って一方通行(アクセラレータ)の顔を横から覗き込んだ。 懸命に背中をさすり続ける上嬢。 すると、背中の辺りからじわじわと暖かいものが広がってきて一方通行(アクセラレータ)は小さく安堵の溜息をつく。 (こいつに助けられるのはしゃくだが……悪い気はしねェ……) そして暫く上嬢にされるがままにさせておいた一方通行(アクセラレータ)だったが、いざ痛みが引いて落ち着いてくると、 (ここは早めに立ち去った方が無難みてェだな……こいつにこれ以上弱みなンて見せたら……) チラッと上嬢の方を見ると心配そうにこちらを見ている碧い瞳と視線がぶつかった。 一方通行(アクセラレータ)は気恥ずかしさから視線を下に逸らす。 すると今度は路上に膝をついたせいで露わになった上嬢のスカートの中が目に飛び込んで来た。 「(チッ)」 一方通行(アクセラレータ)は小さく舌打ちすると、「コントかよ」などと内心毒づきながら身を起こした。 「杖、取ってくれよ」 「あ……あ、ああ」 急に体を起こした一方通行(アクセラレータ)にキョトンと見とれていた上嬢は、急な要求に慌てたせいで立ち上がるのも忘れて四つん這いで杖を拾いに行く。 お陰でまたもスカートの中を盛大に見せ付けられる事になった一方通行(アクセラレータ)は、妙な頭痛に襲われて思わず天を仰いだ。 「なンつゥ不幸だ……」 一方通行(アクセラレータ)がささやかに人生を悲観していたその時、彼を悩ます当の本人はと言うと、 「ほら」 言われた通りに杖を拾うと一方通行(アクセラレータ)に手渡した。 それを無言で受け取った一方通行(アクセラレータ)はぎこちない動作で立ち上がろうとする。 「大丈夫か?」 上嬢は立ち上がるのが間に合わず、膝立ちの姿勢から一方通行(アクセラレータ)にを差し伸べたのだが――。 「俺にさわンじゃねェ」 一方通行(アクセラレータ)はその手を払い落とそうとした――ところが、 「お……おォ!?」 一方通行(アクセラレータ)はたったそれだけの動作すら出来ずにバランスを崩すと上嬢の胸に顔から倒れこんでしう。 「ほら見ろ」 上嬢は一方通行(アクセラレータ)を落とさないように腕に力を込めて頭を抱きかかえつつ不注意を指摘する。 一方の一方通行(アクセラレータ)はと言うと、 「…………」 上嬢の有るか無しかの胸に顔を埋めて苦虫を百万匹噛み締めたような渋い顔をしていた。 そんな一方通行(アクセラレータ)の様子に気が付かない上嬢は、相手の気を落ち着かせようと軽い口調で、 「無茶すんなよ。顔から倒れたりしたらどうするつもりなんだ。怪我なんかしたらかわいい顔が台無しだぜ?」 その瞬間、ほのかに赤かった一方通行(アクセラレータ)の顔が一気に真っ赤になった。 すると、何処にそんな力が残っていたのか、上嬢の体を押しのけた――しかし、 「くっそ……さわンじゃねェって言ってンのが……おぐっ!? ゥゥ……」 それが限界だった。 一方通行(アクセラレータ)は再びバランスを崩すと左肩から派手に地面に倒れて仰向けに転がる。 その一部始終を目の前で見ていた上嬢は、ひとつ大きな溜息をついて立ち上がると、 「地べたに寝転がるのが趣味なんかっつの」 「ほっとけこの偽善者」 毒をもって毒を制すと言わんばかりに一方通行(アクセラレータ)が寝転んだままで上嬢をにらみつける。 すると上嬢はもう一度大きく溜息をついてから、 「あーはいはい、偽善者ですとも。ですから地べたで寝転がるような女の子は放っておけないのですがっ!」 そう言いながら一方通行(アクセラレータ)を抱き起こすと杖を持っていない方の腕を自分の肩に掛けた。 「(けっ)」 「はいはい、素直ですねって……よっ!」 非協力的な一方通行(アクセラレータ)がずり落ちるのを、腰に手を掛けて抱えなおした上嬢は、 「でどちらにお帰りになるんですか世話の焼けるお姫様?」 「バッ、てめェは人ン事メスガキ扱いすンじゃねェ。俺はれっきとしたおと――」 一瞬カッとなった一方通行(アクセラレータ)は上嬢を怒鳴りつけようとした――がしかし、何故かばれていないらしい自分の正体をここでばらす愚行に気がつくと急に言葉に詰まってしまう。 「『おと』何?」 上嬢の質問にたっぷり数分間押し黙った一方通行(アクセラレータ)がやっとの思いで発したのは「何でもねェよ」の一言だった。 「?」 そんな一方通行(アクセラレータ)は、キョトンとしている上嬢の視線にいたたまれなくなって、 「おい……、歩いてくれよ」 とぶっきら棒に上嬢を急かした。 「お、おう」 そしてぎこちなくではあるが、やっと歩き始めた2人。 一方通行(アクセラレータ)は歩きながらふと思いを巡らせる。 (このままじゃ俺の正体がばれるのも時間の問題か……いっそばらしゃこいつも俺の事ほっといてくれっかなァ? しかし、それにはタイミングっつうもンが必要だが……) 悩めば悩むほど表情が険しくなる一方通行(アクセラレータ)に、心配した上嬢が声を掛けた。 「大丈夫か?」 肩を組んでいるからこその息もかからんばかり所か吐息が頬を撫でる距離に一方通行(アクセラレータ)は急に現実に引き戻されてギョッとする。 そして顔面が熱くなるのを感じて顔を背けると、 「(か、顔が近ェンだよ)」 消え入りそうな声でそう愚痴を零した。 そんな一方通行(アクセラレータ)に、上嬢はジト目になると、 「あんまり文句ばかり言うとお姫様抱っこにしますが?」 「こ、これで十分だ」 一方通行(アクセラレータ)は、上嬢の殺し文句に身を硬くして丁重にお断りを申し上げるのだった。 そんな一方通行(アクセラレータ)のポケットで何かが小さく震えた。 「おいちょっと止まれ」 一方通行(アクセラレータ)はそう言って上嬢を立ち止まらせると、ポケットに手を突っ込んで震える何か――携帯電話をつかみ出した。 そして携帯を開くとめいっぱい上嬢から顔を背けながら耳に押し当てた。 「(芳川か?)」 『そうよ。貴方、アク――』 「(頼む、迎えに来てくれ)」 一方通行(アクセラレータ)の押し殺した声に何を感じたのか芳川は一瞬無言になった。 『わ、判ったわ』 「(場所は携帯のGPSで判るな。頼ンだぜ)」 『あ、アクセ――』 芳川が何か言おうとしたが、一方通行(アクセラレータ)はあえてそれを無視して通話を切るとポケットに携帯電話をねじ込んだ。 それからひとつ深呼吸をすると、口元に飛び切り悪そうな笑みを作って上嬢に振り返った。 「つー訳でてめえはお払い箱だ。さ、俺を置いてどっか行け」 最高の殺し文句、これでこいつも愛想をつかして何処かに消えるだろう、一方通行(アクセラレータ)はそう思っていた。 しかし、当の上嬢はと言うと、綺麗な碧眼をしばたかせるばかりで期待したようなリアクションが返って来ない。 それどころか、 「ん―――――。じゃ、迎えが来るまで一緒に待ってるよ」 「ざけンな。てめェは何処まで暇なンだっつゥンだよ? 見ず知らずの行き倒れに何時までも引っ付いてンじゃねェ」 「ほら、そこにオープンテラスがあるから座ろうぜ」 これには一方通行(アクセラレータ)も流石に切れて、指先がチョーカーに伸びそうになる。 ところがこれは両手がふさがっていて思うように行かない。 そこで一方通行(アクセラレータ)はねめつけるように上嬢を見つめると殺気のこもった低い声で、 「てめえは何で人の話を聞かねェンだよ」 ところが上嬢は大稗を見せるどころか、そんな殺気だった一方通行(アクセラレータ)の顔をまじまじと覗き込んで来た。 それだけで明らかに毒気を抜かれた顔をする一方通行(アクセラレータ)は、 「ンだてめえ……」 と必死に虚勢を張ろうとする。 しかし、上嬢はそんな一方通行(アクセラレータ)に満面の笑みを向けると、 「お姫様抱っこするか?」 「――死ね」 一方通行(アクセラレータ)はそう呟くとがっくりと肩を落とした。 (クソッ。これなら操車場で殺りあった時のがはるかにマシだったぜ……) かつて自分を散々振り回した相手――打ち止め(ラストオーダー)、インデックス――以上に疲れる相手に捕まってしまった事に今更ながら思い知らされた一方通行(アクセラレータ)だった。 そんなショックから立ち直れずにいた一方通行(アクセラレータ)は、上嬢から「何飲む?」と聞かれても上の空だ。 上嬢は、そんな一方通行(アクセラレータ)の顔を両手で挟み込むと鼻先が擦りあうほどに顔を近付ける。 「いぎっ!?」 「な、に、飲、む、の?」 「コ、コーヒー」 「OK、ボス」 妙にノリノリでサムズアップとウインクをして立ち去った上嬢の後姿を、テーブルに突っ伏して上目遣いに見送った一方通行(アクセラレータ)は盛大に溜息をついた。 それからテーブルの上に額を付けでじっとしていたかと思うと、急にガバッと立ち上がってテーブルにドンと両手をついた。 「ちきしょう、何で俺がこンな目立つ所で最弱(さいきょう)なンかとコーヒー飲まなきゃならねェンだ? ここはひとつばっくれていぎぎ……」 一方通行(アクセラレータ)を急な鈍痛がまた襲う。 「クソッ……治まったとばかり……」 一方通行(アクセラレータ)はよろめきながら椅子に座ると痛む腹を押さえた。 額にじわりと脂汗が滲む――とそんなところに上嬢が戻って来た。 「お待ちど――」 そこまで言いかけた上嬢は、一方通行(アクセラレータ)の様子に気がつくと手にしたトレーを乱暴に空いているテーブルに置いた。 「大丈夫か!?」 「クソッ……ホントついてねェ……」 一方通行(アクセラレータ)に駆け寄った上嬢は初めの時と同じように優しく背中をさすった。 すると険しかった一方通行(アクセラレータ)の顔から徐々に険が取れて行く。 暫くして一方通行(アクセラレータ)が落ち着いた所で、上嬢は既にぬるくなってしまったコーヒーを手渡すと、一方通行(アクセラレータ)の隣に椅子を置いて座った。 「ホント医者行かなくて平気なのか?」 「これから来るやつが医者だ」 そうぶっきら棒に答える一方通行(アクセラレータ)は、そわそわとしていて何だか落ち着かない様子だ。 その内手にしていたコーヒーカップをテーブルに置くと、 「オイ」 上嬢から返事は無い。 「オォイ!」 「ん?」 上嬢からやっと反応が帰ってきたので、一方通行(アクセラレータ)は一気に捲くし立てる。 「何でてめェはさっきからくっついて座ってるンですかァ!?」 確かに一方通行(アクセラレータ)が言うように、不自然なくらいに肩を寄せ合って座る上嬢と一方通行(アクセラレータ)。 さらにあろう事か上嬢の手は一方通行(アクセラレータ)の下腹の辺り――先ほど一方通行(アクセラレータ)が押さえていた辺り――を撫でているではないか。 「痛いの痛いの飛んでけ……って、ダメ?」 「チッ」 一方通行(アクセラレータ)は派手に舌打ちをすると、小首を傾げる上嬢から視線を外した。 しかし、逃げるような素振りなどは見せずにされるがままにしている辺り満更でもないと言う事なのだろうか……? ただ先ほどと打って変わったような一方通行(アクセラレータ)の穏やかな呼吸が上嬢にそう思わせるのだった。 そんな2人の姿を車から眺めている人物がいた。 「どうしようかしら愛穂」 「んな事私に聞かれても知らないじゃんよ」 芳川の言葉に黄泉川は溜息混じりに答える。 「とりあえず打ち止め(ラストオーダー)を置いて来たのは正解だったわね」 「ま、あれを見てあのコの遊び心に火が付かないはずないからねえ」 2人とも片時も上嬢と一方通行(アクセラレータ)の動きを見逃すまいとする余り、気もそぞろになり会話も思うように弾まない。 「ところで気が付いて無いみたいなんだけどあっちのコ?」 芳川が言ったあっちのコとは上嬢の事である。 「さあ? 噂じゃ随分と鈍感らしいから、ホントに一方通行(アクセラレータ)だって気が付いて無いんじゃん?」 「ふぅん」 「ま、面白いコだよね。うちの学校じゃ生徒から先生から大人気じゃん」 そう言って黄泉川はちらりと後部座席の芳川に視線を投げるとウインクをしてみせる。 すると後部座席から身を乗り出した芳川は、 「私としては彼女の人気より右手の方が興味津々だけど?」 「ふーん。ま、友人としては桔梗を逮捕したく無いのでそう言う事はこっそりやって欲しいじゃんよ――お、一方通行(アクセラレータ)私らに気が付いた見たいじゃんよ」 芳川をたしなめようとした黄泉川だったが、目の前の2人――一方通行(アクセラレータ)が上嬢に肩を借りてこっちに来るのに気が付くと車のドアを内側から開いた。 「お待ちどうさま」 芳川は楽しそうに笑顔で一方通行(アクセラレータ)を迎えた。 「おせェぞ。大体なンですぐに来ね――」 そうぶっきら棒に答えようとした一方通行(アクセラレータ)を遮って、上嬢が話に割って入って来た。 「あれ、黄泉川先生?」 「よう不良少女。行きずりのコを誘ってデートだなんてやるじゃんよ。小萌先生あたりが聞いたら泣いて喜ぶじゃん」 「え……あ……あはははは……」 黄泉川は引き攣った笑いを見せる上嬢に笑顔と共に敬礼する。 「冗談じゃん。ま、今度は先生を誘って欲しいじゃんよ」 今度はウインクを返された上嬢は何だか変な汗が止まらない。 「じゃ、今日は急ぐからまたじゃん」 一方通行(アクセラレータ)が助手席に納まると、黄泉川は運転席から身を乗り出してドアを閉めた。 すると次の瞬間、派手なスキール音と共に車はその場から打ち出されるようにして走り去って行ってしまった。 後に取り残された上嬢は、暫くの間呆然と車が走り去った方向を眺めていた。 この後、上嬢が一方通行(アクセラレータ)との秘密デートについて美琴たちから質問攻め合う事になったり、一方通行(アクセラレータ)の腹痛が実は女の子の日だと判るのもそれはまた先の話だ。 「あれ? そう言えば名前を聞き忘れたな。まいいか、後は先生が何とかしてくれったろ――とと、それよりまだ間に合うな? よし、今からスーパーに直行だぜっ!」 そうひとりごちた上嬢は暮れかけた日差しを追いかけるように雑踏の中に消えて行った。 END